米国だけでなく、日本や韓国など世界各国の野球関係者が集まるウインターミーティングの会場で、巨人からカージナルスへの移籍が決まったマイルズ・マイコラス投手(29)が、移籍会見を行いました。日本では美人妻として有名になったローレン夫人ばかり(?)が注目されていましたが、今季のマイコラスは開幕投手を務めるなど14勝8敗、防御率2・25と活躍。安定した成績が認められ、念願のメジャー球界復帰を果たしました。

 チーム再建を目指す巨人側としては、残留を望んでいましたが、カージナルスは2年・1550万ドル(約17億5000万円)の好条件を提示。いかに資金力のある巨人といえども「マネー合戦」には持ち込めず、慰留を断念したようです。

 その一方で、マイコラスのメジャー復帰には、日本球団にとって外国人獲得の成功例という一面も表れています。というのも、2012年にパドレスでメジャーデビューしたマイコラスは、その後の3年間でわずか4勝(6敗)、防御率5・32と伸び悩み、メジャーに定着する成績は残せませんでした。ところが、巨人移籍後は、投球術を覚えるなど先発ローテーションの一角として定着。エース菅野と並ぶ柱として活躍しました。

 日本の各球団にとって、外国人の調査は周囲が考えるほど簡単なものではありません。メジャーで実績のあるビッグネームの選手は超高額資金が必要ですし、そうでなければピークを過ぎたベテランしか手が出せず、しかも、好結果は期待しづらくなります。となると、メジャー経験は少なくても、日本で「化ける」可能性を持つ、比較的に安価な選手を獲得して、レベルアップすることが重要となるわけです。

 過去には、阪神に在籍したセシル・フィルダーがメジャー復帰後に本塁打王を獲得。近年では、元広島のコルビー・ルイス、元ヤクルトのトニー・バーネット(ともにレンジャーズ)らが、メジャー復帰後に活躍するなど、日本から「逆輸入」するケースも少なくありません。

 マイコラスにとって、日本での3年間が貴重な時間だったことは言うまでもありません。

 「日本では自信を取り戻した。現役最後の1年間はジャイアンツに戻ってプレーしたいね」。

 マイコラスがメジャーで活躍することは、結果的に日本球界のレベルを証明することにもつながるだけに、今後も注目していきたいところです。【四竈衛】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「メジャー徒然日記」)