オリックスからFA(フリーエージェント)でメジャー挑戦を目指していた平野佳寿投手(33)が、ダイヤモンドバックスと2年契約を結びました。その時点では、ダルビッシュら大物選手の契約先も決まっておらず、早期決着を「意外」と感じる声もあったようですが、メジャー球界で平野は早い時期から高く評価されていました。

 平野に目を付けていた球団は、ダイヤモンドバックスだけではありません。過去数年、ダルビッシュや田中(ヤンキース)をはじめ、大谷(エンゼルス)らを調査するため、数多くのスカウトを送り込んできた球団のほとんどが、平野に「◎」を付けていました。実際、「日本にヒラノという、いい救援投手がいるけど知っているか?」と、平野の名前を耳にしたのは、某球団のスカウトとの会話が最初でした。

 それだけに、2015年オフ、平野が海外FA権を取得することを見込んで、複数の球団が本格的に獲得を検討していました。結果的に、平野がオリックスと複数年契約を結んで残留したため、海外移籍は実現しませんでしたが、今年3月のWBCでも活躍。33歳となっても高評価は変わらず、今オフは数年越しの「争奪戦」となったわけです。

 昨季のクローザー、ロドニーが退団したこともあり、ダイヤモンドバックス首脳陣は、快速セットアッパーのブラッドリー、通算44セーブのボックスバーガー(前レイズ)、そして平野の3人の中から来季のクローザーを選ぶ方針を固めています。平野の場合、日本で通算156セーブをマークした実績だけでなく、抜群の制球力と宝刀フォークを持つ投球スタイルが、佐々木主浩(元マリナーズ)、上原浩治(カブスFA)らと共通することもあり、有力候補として期待されています。

 来季のメジャー球界では、どうしてもエンゼルス大谷の「二刀流」ばかりが脚光を浴びそうですが、ベテラン平野の「ルーキーイヤー」にも注目していきたいところです。