14日(日本時間15日)の試合中に「右ふくらはぎの張り」を訴え、途中交代してしまいましたが、今キャンプのイチローからは、例年以上に笑顔が絶えませんでした。フリーエージェント(FA)市場が停滞し、なかなか移籍先が決まらなかった時期の心境を「泰然」と表現した一方で、マ軍復帰会見では喜びと感謝の気持ちを余すことなく、イチローらしい言葉で言い表してくれました。

 8日に合流した際には、6年ぶりとなるアリゾナ州ピオリアのグラウンドで、暖かい日差しと熱烈なファンの大声援を全身に浴びながら、汗を流しました。

 「だいぶ変わりましたけどね、(クラブハウス内の)ロッカーも。いろんなことが変わりましたけど、景色が変わらないですね。居心地とか。気持ちいいっス」

 初練習後には、ひときわ明るい表情で「合流初日」を振り返りました。

 「なんかチームの空気なのかな。去年4月に対戦して外側からしか見ていないですけど、その印象とはだいぶ違いますね。もうすでにチームメートみたいな感じがしているのは僕だけかな。どうですかね、分かんないけど」

 9日には、ベースランニングで衰え知らすの快足を披露。しなやかな走りを見たマ軍関係者が「(年齢の)『44』というのは、単なる数字にすぎないね」と感嘆するほどでした。ディポトGMが健康診断の結果の数値に驚いていたとの話題を振られると、イチローはちゃめっ気たっぷりに切り返しました。

 「僕が(検査を)通らなかったら、MLBの選手全員が通らないですから、本当に。だって、そりゃそうでしょ」

 練習後は、毎日、足を止めて「即席サイン会」を実施するなど、たっぷりとファンサービスも続けていました。それほど、心身ともに良好な状態が続いていることは明らかでした。

 それだけに、今回の「離脱」は、少しばかり気になります。現時点では、比較的「軽症」とみられていますし、大事をとった措置だと思われます。ただ、いくら深刻でないにしても、さすがに、これまでと同じように、にこやかな表情でハツラツと動き回ることは、しばらく難しくなりそうです。順調な回復だけでなく、1日も早く、イチローの笑顔が戻ってくることを願うばかりです。

【四竈衛】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「メジャー徒然日記」)