強いチームにベテランは不可欠?

 サッカーW杯が始まり、日本中だけでなく、世界中が盛り上がっています。劇的な試合や番狂わせもあり、短期決戦の難しさが、あらためて浮き彫りになっているようですが、日本時間25日の「日本-セネガル」戦を見て、ふと野球との共通点を感じました。

 日本中を熱狂させたこの試合、1点リードされた後半途中、日本代表は32歳のベテラン岡崎、本田を投入。その直後、2人がゴール前に攻め込み、本田の得点で同点に追い付きました。サッカーのシステムや戦術については、よく分かりませんが、代表だけでなく、海外での経験も豊富な2人が入ったことで、チームの雰囲気がプラスに転じたような気がしました。

 もちろん、得点したことは結果論かもしれません。

 ただ、メジャーでも、本気で世界一を目指すチームには、必ずと言っていいほど、チームをまとめるベテランが際立った存在感を見せています。

 2016年にワールドシリーズを制したカブスは、ベテラン捕手ロス、先発ラッキーの2人が、兄貴分としてだけでなく、時には「お目付け役」のような役割を果たし、若いチームをまとめました。第7戦の降雨中断中、円陣の中心でゲキを飛ばしたヘイワードも、歴戦のベテランでした。

 昨季、初の世界一に輝いたアストロズでは、レジェンド的存在のベルトランが、アドバイザーのような役割も果たしながらアルテューベ、コレアらの若手選手を鍛えました。連敗後、ションボリしているスプリンガーに「今夜は、家に戻ってワインでも1杯飲んで寝る方がいい。また、明日は別の1日なんだ」と諭す姿は、とても印象的でした。

 彼らは、全162試合にフル出場するわけではありません。主力が休養する日にプレーしたり、途中出場することも少なくありません。ただ、好調な時に浮かれず、低調な時にパニックにならず、常に落ち着いた精神状態を維持するうえで、経験豊富なベテランがモデルケースになっていることは間違いありません。

 サッカー日本代表の戦いが、今後、どうなるかは分かりません。ただ、結果にかかわらず、たとえベンチスタートでも、本田や岡崎のようなベテランの、有形無形の貢献が、勝敗のカギを握るような気がします。