MLBでは現在2人の俊足選手が注目されている。

 一人目はイチロー外野手のチームメイトであるマーリンズのディー・ゴードン二塁手だ。ゴードンはドジャースに在籍していた昨年、64盗塁を記録し最多盗塁のタイトルを獲得するなど脚の速さで知られてきたが、先月30日のジャイアンツ戦の1プレーでそれを全米に改めて強く印象づけたのである。

 2回裏、2死走者2、3塁という場面でゴードンは右中間を破る鋭い打球を放った。ジャイアンツの外野手がその処理に手間取るのを見るやゴードンは一挙に加速し、そのままベースを一周、ヘッドスライディングでホームに突入、ランニングホームランを達成したのである。

 驚くべきはそのスピードだ。公式サイトMLB.comによれば、ベースランニングにかかった時間はわずか14・3秒、最高速度は時速20・6マイル(約33キロ)に達していたのである。ベースランニングの時間が計測されはじめた2010年以降の最高記録13・95秒には及ばないものの、驚異的な数字だ。

 ゴードンは昨年6月三塁打一失策で13・89秒も記録している。マーリンズにとってゴードンの脚は今後も大きな武器になっていくことだろう。

 もう一人の注目選手はレッズのビリー・ハミルトン外野手。先月30日時点で今シーズン既に40盗塁を記録しているのだ。これは2位ゴードンの26を大きく引き離してMLBトップである。これはシーズン合計83に達するペースなのだ。

 盗塁数が80の大台に乗れば、1988年に当時ヤンキースのリッキー・ヘンダーソン外野手が93を、カージナルスのビンス・コールマン外野手が81を記録して以来27年ぶりの快挙となる。75に達するだけでも2007年に当時メッツのホセ・レイエス内野手が78を記録して以降初となるのだ。

 気になるのはハミルトンの出塁率は現在2割7分9厘と高くない点である。ただここ15ゲームに関しては3割2分8厘と調子は上向いており、ぜひこのまま好調を維持して大台突破を果たしてもらいたい。

 この2人のスピードスターの動向に注目していきたい。