現地6日、ヤンキースはアストロズとの一発勝負のワイルドカードゲームに挑んだ。田中将大投手が先発したが、2発のソロ本塁打を浴び5回2失点で降板。打線も低調で3安打10三振という不振ぶりで0対3で破れ、地区シリーズ進出はならなかった。

 わずか1ゲームでのプレーオフ敗退に地元は大きなショックを受け、沈痛な雰囲気になっているかと思えば、そうでもないようだ。まずメッツがナ・リーグ東地区を制しており、9日からドジャースとの地区シリーズを争うのでそちらへの期待が高まっているということがある。特に西のライバル都市であるロサンゼルスに本拠を置き、同時に昔ニューヨーク市ブルックリンに本拠を置いていたドジャースに対する思い入れを持つニューヨーク市民は多いので、盛り上がるのは当然なのだ。ヤンキースが負ければもう気持ちはメッツ、といったところだろうか。

 またヤンキースの敗退と同時にヤンキースに対しては既に来シーズンへのチーム作りに気持ちが切り替わってもいるようだ。地元紙ニューヨーク・ポスト電子版は7日付けで「トレードとフリーエージェントでどうヤンキースを修復するか」という記事を掲載し、FAやトレードでの獲得を目指すであろう選手を紹介している。

 それによればチームが獲得を目指すであろう有力選手として、ブルージェイズのサイヤング賞受賞投手デイビッド・プライスやロイヤルズのユーティリティ・プレイヤー、ベン・ゾブリストなどを挙げている。さらにタイガースのイアン・キンズラー二塁手のトレードでの獲得も示唆した。もちろん交渉次第ではあるので、行方はわからないのだが、どういうチーム作りを目指していくべきかを考えるのはオフシーズンの大きな楽しみであり、こうした記事や話題は今後盛り上がりを見せていくだろう。

 さらにわかりやすい企画を行っているのがやはり地元紙デイリー・ニュースの電子版だ。「GMになろう」という企画ページを作って、主要選手と監督、GM、コーチなど首脳陣を放出するか残留させるかを読者に投票させているのである。その中にはアレックス・ロドリゲス選手はもちろん、田中将大投手も含まれている。

 その投票状況だが現地7日夜の時点で、Aロッドについては残留が57%、ジョー・ジラルデリ監督は残留54%、ブライアン・キャッシュマンGMは放出が51%となかなか厳しいものとなっているようだ。一方、田中については残留が83%で、エースとしてファンから信頼を置かれていることがわかる。

 このようにすっかりヤンキースに対してファンやメディアの目は既に次に向いているようだが、もう少し長く見ていたかったと思う気持ちが今もあるのは事実だ。