現地29日、通信社APは来シーズン、ブレーブスの新本拠地サントラスト・パーク最初の公式戦が来年4月13日のパドレス戦になる見込みだと報じた。サントラスト・パークはジョージア州アトランタの北西、カンバーランドに現在建築中で、ブレーブスは今シーズン終了後、現在のターナー・フィールドからこの新スタジアムに移転することとなる。この本拠地移転については少し複雑な思いを抱かざるを得ない。

 それはターナー・フィールドが1997年オープンという比較的新しい部類に入るスタジアムであるからだ。同スタジアムが特別な存在であるのは、1996年に行われたアトランタ五輪のメイン・スタジアムとして建設された点にある。元々五輪後、ブレーブスの本拠地にすることを想定して設計され、五輪閉会後に計画通り、陸上トラックが取り払われ、スタンドなどの改修を経て、8万5000人収容の陸上スタジアムから4万9000人収容の野球専用スタジアムとして生まれ変わったのである。

 閉会後の活用を考えた施設建設という、五輪関係で取り上げられることも多いスタジアムだった。東京五輪開催に向けて成功例にしたいところでもあったのである。それがわずか20年間の使用で本拠チームが移転となってしまったのだ。

 原因は地元自治体から運営権を一任されていたブレーブスから出た不満だ。2013年にチーム副会長が野球専門に改修することを考慮して設計、建設されたとはいえ、チームにとってはファン・サービスの面などで見劣りするところが多く、さらなる改修には3億5000万ドルが必要になると主張。さらに駐車場が5000台しかなく、市電の駅から1.5km離れていることが集客力を低下させているとし、新スタジアムへの移転を決断したのである。

 新スタジアムは4万1500人収容で、レストランやホテル、マンションなどが併設され巨大施設の一角に位置することとなる。アトランタのダウンタウンからは離れているものの、ハイウェイがすぐそばにある交通の便は良くなりそうだ。

 あれだけ計画を練ったスタジアムでもだめだったのかという五輪開催とその後を見通すことの難しさと、不満があれば移転を決断するMLBチームのビジネス感覚。その両方を感じずにはいられない移転話である。