日本では日本ハムの大谷翔平投手が時速163kmの速球を連発して話題になっているが、MLBでも最速投手に注目が集まっている。ヤンキースの抑え投手、アロルディス・チャップマンだ。

 18日に本拠地ヤンキースタジアムで行われたオリオールズ戦、2対1とリードした状況で9回表に登板したチャップマンが2人目の打者JJハーディ遊撃手への6球目に、球速105.1マイル(約169.14km)が記録されたのである。

 105.1マイルは2010年9月にチャップマン自身が記録したメジャー最速記録に並ぶものである。キューバ出身のチャップマンは2009年に亡命し、2010年にレッズでメジャー・デビューを果たし、新記録を樹立。その後も100マイル(約161km)超えの速球を何度も披露してきた。今シーズンは前年に恋人に対して起こした家庭内暴力の容疑で開幕から30ゲームの出場停止となっていたが、5月9日に復帰を果たしている。

 この最速タイ以外にも、この日のチャップマンは絶好調で、スポーツ専門局ESPNによれば投げた18球のうち15球が100マイル(約161km)を、5球が104マイル(約167.4km)を超えていたということだ。

 100マイル超えは速球の目標とされるが、そんな球をここまで連発されるともう驚きでしかない。チャップマンは1回を無安打無失点で封じ、19セーブ目を挙げている。

 この快投に対しゲーム後チャップマンは「調子は良かった。普通に感じたが、少し不安定だったと思う。でも他の日と違わないよ」とクールに語ったということだ。ヤンキースのジョー・ジラルデリ監督は「彼が投げる時はダッグアウトで一歩下がって身構えているよ。彼の腕は本当に速い。あんなに速い腕は見たことがないよ」と絶賛している。

 またチームメートのアンドルー・ミラー投手も「彼のような人間を知らない。彼は飛び抜けた存在だと思う。同じチームでうれしい」とやはりたたえていた。一方、対戦したオリオールズのケビン・ゴースマン投手は「あいつは化け物だ」と降参といった様子だったということである。