1人のプロフットボールNFLの元クオーターバック(QB)がMLBのスカウトたちに対し公開練習を行い、大きな注目を集めている。

 その元QBとはデンバー・ブロンコスなどでプレーしたティム・ティーボウ。現在29歳のティーボウはフロリダ大学時代、2007年と09年にチームを全米チャンピオンに導くなど大活躍し、プロ入り前から人気選手となった。ただ注目された要因は実力だけでなく、彼が敬けんなクリスチャンであり、得点する度に膝をついて祈りをささげるなど目立つ言動があったためでもある。

 10年のドラフトでブロンコス1巡指名を受け入団し、翌年にはチームがプレーオフに進出する原動力となった。しかし元々投球フォームがプロ向きでないといった評価もあり、その後は低迷。チームを転々とし、15年の開幕前にフィラデルフィア・イーグルスから解雇された以降は現役続行の意思を示したものの契約してくれるチームはなく、大学フットボールのテレビ解説者を務めていたのである。とはいえ大学時代に得た人気は根強く、何かと話題になってきた経緯があった。

 そんなティーボウがMLB入りを目指すと発表したのだから、注目されないわけがない。実際これまでもMLBとNFLの両方でドラフト指名された選手は少なからずいるのである。ただティーボウが正式に野球をプレーしたのは高校以来とあって疑問視する声も強いのは事実だ。

 そして現地8月30日、カリフォルニアで公開練習が実施された。報道によれば27チームから42人ものスカウトが集まったということである。さらにそれをはるかに上回る報道陣が集まっており、注目度の高さが証明された形だ。

 公開練習の内容だが、60ヤード(約55メートル)走や打撃練習、実践形式の打撃、外野守備練習などが実施されている。その結果だが60ヤード走は6.76秒で、これはMLB選手の平均的な数字だ。打撃練習では4本の柵越えを見せたものの、元MLB投手との実戦形式の打撃では5打数1安打にとどまっている。守備練習では落球などはなく、元QBらしい強肩を披露したということだ。

 気になるスカウトの評価だが、身体能力の高さを評価し、80点をつけたスカウトもいれば、65点で実戦ではおそらく55点と厳しい評価のスカウトもいたようである。

 何かと話題になってきたティーボウのMLB挑戦は果たして実を結ぶだろうか。