アメリカ現地2日、MLBとMLB選手会は先月30日に基本合意した新たな労使協定を発表した。これまでの労使協定は1日に失効することになっていたため、それまでに合意できなければ選手をチーム施設から閉め出すロックアウトや21年ぶりのストライキの可能性もあった。しかし前回のストライキで双方がイメージと金銭面で深く傷ついたこともあって早期の歩み寄りとなったようだ。

 それ故か2021年まで適用となる新労使協定は大幅な改定はなく、マイルドな変更に留まっているように見える。その中でも重要と思われるものをいくつか紹介すると、チーム総年俸が規定額を超えた球団に課される課徴金いわゆる贅沢税については規定額が段階的に引き上げられることとなった。規定額は17年が1億9500万ドルで、2021年は2億1000万ドルとなる。これを超えたチームにかけられる贅沢税の税率は1回目が20%、2度目が30%、3度目が50%で、さらに2000万ドル以上超過した場合は付加税も適用されるということだ。

 また高額契約でFAの選手を獲得したチームが選手を放出したチームにドラフト1巡目の指名権を差し出す必要がなくなった。ただし贅沢税が適用された場合は下位指名権を失う。短期の故障者リストの日数も15日から10日に短縮されることが決まった。

 さらにこんなことも?と思われるかもしれないのが、ワールドシリーズのホームフィールド・アドバンテージ決定方法だ。これまではオールスター・ゲームで勝利したリーグに与えられていたが、レギュラー・シーズンの勝率が高いチームが獲得することとなった。以前の方法はオールスター・ゲームの本気度を上げる目的があったが、それよりもワールドシリーズに特化といったところだろうか。

 そんななか、日米で波紋を生むことになっている規定変更もある。海外FA選手と自由に契約できる条件がこれまでの23歳から25歳に引き上げられたのだ。25歳未満の選手を獲得する場合、ボーナスプールと呼ばれる契約金上限が500万ドルから600万ドルとなる。

 もし日本ハムの大谷翔平投手が、報道されているように来シーズン後MLBに挑戦となるとこの規定に引っかかり大型契約が結べなくなる可能性が出ているのだ。当初日米間に結ばれた選手協定があるため、適用外になるのでは、という報道もあったが、5日から開催されているウインターミーティングでは逆に適用されるという声もあり、判然としない状況である。

 大谷が25歳となる19年まで待つことになるのか今後の展開が待たれるところだ。