昨年、108年ぶりにワールドシリーズを制したカブスの選手や首脳陣、スタッフが現地16日にホワイトハウスのオバマ米大統領を表敬訪問した。

 対面は終始にこやかに行われ、オバマ大統領は「歴史を通して思い出される価値がある。スポーツはたとえ国が分断されていても我々を一つにする力を持っている。スポーツは振る舞いや文化を微妙に変えたが、最終的に我々に我々自身と我々が誰なのか考えさせた。スポーツは政治やビジネスがしない方法で心を変える力がある」とスポーツの持つ力を強調する一方で、「おめでとう。これが大統領として最後の公式行事になるが、この8年間で最も光栄なことかもしれない」とチームに賛辞を贈った。

 またシカゴの南部に育ったミシェル夫人が子供のころからカブス・ファンであることなども披露し、自身が熱心なホワイトソックスのファンで有名なことから「ホワイトソックス・ファンの中で私が一番のカブス・ファンであることは知っておいてもらいたい」とジョークを飛ばしたということである。

 これに対し、カブスはシカゴ出身のオバマ大統領に第44代大統領にちなんだ背番号44のユニフォームと生涯有効の観戦チケットを送るとともに、セオ・エプスタイン球団社長は「これまでの過ちは許して、カブスの一員として歓迎します」と返した。

 訪問後、エプスタイン社長は「(夫妻を)待っている間チーム全体が集まったことは素晴らしい瞬間でした。それから大統領とファーストレディーは大きなエネルギーを伴って部屋に入ってきて、心に響く発言をしてくれました。この訪問は皆に大きなものをもらえました」と感想を述べている。

 ワールドシリーズ優勝チームが1月にホワイトハウスを表敬訪問するのは異例のことだ。シーズン中でもスプリングトレーニング中でもなかったことから優勝後FA移籍したアロルディス・チャップマン投手やデクスター・ファウラー外野手も今回の訪問に参加できている。それだけにエプスタイン社長などには心に響くものがあったのかもしれない。

 一方でオバマ大統領が現地20日に退任するため、このタイミングしかないという考えが両者にあったとも考えられる。シカゴ出身というだけでなく、MLB選手の多くが先の大統領選でトランプ次期大統領不支持を表明していたことが背景にあったためだ。

 アメリカでは優勝したスポーツチームや有力選手がホワイトハウスを表敬訪問することが恒例になっている。が、トランプ大統領が就任すると訪問の数が減るのではともささやかれているのだ。