現地6日、スポーツ専門局ESPNの電子版はMLBが2つのルール変更を正式に通告したと、複数の関係者の証言として報じた。

 そのルール変更だが、1つめはストライクゾ-ンに関するものだ。1996年以降ストライクゾーンの下限は「膝頭の下部」と規定されているが、これを「膝頭の上部」とするというもの。下限が約2インチ(約5センチ)高くなり、それだけストライクゾーンが狭くなる。打者にとって有利な変更といえそうだが、なぜこのような変更を行おうとしているかというと、ボールに対するアクションや走者の数を増やし、ベースボールの魅力を高めるためだという。記事によれば全打者の3割近くが、四球か三振という結果だとか。打者の打つ気をアップさせようというのである。

 2つめの変更案は敬遠四球について。これまでは敬遠する場合でも実際にボール球を4回投げていたのはご存じのとおりだ。それが今回の提案では敬遠の意思表示を審判にすれば、一球も投げることなく、打者はダイレクトに一塁に送られるようになるというものである。

 記事によればこれはロブ・マンフレッドMLBコミッショナーが提唱している試合時間短縮戦略に沿ったものだという。ESPNは1回の敬遠で約1分短縮することができるとした。ただ昨シーズン敬遠は932回あり、2・6試合に1回の割合だった。

 たしかに様々な手段を使って近年長すぎるという指摘が多数されてきた試合時間の短縮を図ることは重要だが、これだとそうそう大きな効果が得られるようには残念ながら見えない。むしろ、日本で何度かあった敬遠のボールを打つことや投手が暴投をしてしまうという可能性もあるわけでスポーツの面白さとしてどうかと思う点もある。

 これらの改革案についてすぐに実行できるわけではない。選手会の合意が必要である。ただこれはそう簡単ではなさそうだ。記事でも指摘されていたが、約2週間後にはスプリング・トレーニングのオープン戦が始まるというタイミングである。敬遠はいいとしてもストライクゾーンの変更に対しては、選手はもちろん審判の周知徹底が必要になる。またもし選手会の同意が得られれば、WBCは新ルール下での開催となるかもしれない。

 果たしてMLBの思惑通り、新シーズンからこれらのルール変更が実施できるか微妙ではある。それでも改革を行おうというのがMLBらしくはあるが。