ドナルド・トランプ大統領がナショナルズのシーズン開幕戦での始球式を拒否した。現地28日にチーム広報担当者が発表し、AP通信などが伝えている。

 ナショナルズは4月3日に本拠地ナショナルズ・パークで行われるマーリンズとの開幕戦で始球式参加をホワイトハウスに打診していたものの、スケジュール調整がつかないことを理由に参加できないと拒否されたのだという。

 広報担当者は発表で「ホワイトハウスからスケジュール上の都合により、参加できなくなったとの連絡が来た。ご存じのように、大統領を開幕戦に招待することは、ワシントンのベースボールにおいて100年以上の歴史がある。1910年にセネターズが(ワシントンに)戻ったときに始まり、ナショナルズがワシントンにベースボールを取り戻したときにその伝統を引き継いできた」と参加拒否を残念がったということだ。またその際、誰が始球式を行うかはその時点では決まっていないことも明かしている。

 一方、政治紙ポリティコは28日の午前時点では始球式参加についてトランプ大統領側とまだ交渉中だったうえ、大統領が地元ラジオ局に1イニング出演する可能性もあったと伝えた。この件についてナショナルズはコメントしていない。

 トランプ大統領はこれまで何度か始球式を行っている。直近では2006年にはフェンウェイパークでのレッドソックス対ヤンキースで投じた。ただ2012年にナショナルズがスティーブン・ストラスバーグ投手を手術明けを理由にシーズン終盤登板させない措置をとったことをツイッターで批判したこともある。今回の開幕投手はストラスバーグが務める予定で、どのような反応が出るかでも注目されていたのだ。

 大統領として初めて開幕戦で始球式を行ったのは1910年の第27代ウィリアム・タフト大統領。その後ワシントンを本拠としていたセネターズが1972年に移転するまで11人中10人が就任1年目に始球式を行った。唯一行わなかったのは45年のハリー・トルーマン大統領で、これは前任のフランクリン・ルーズベルト大統領の死により、開幕戦の8日前に就任したばかりだったため。トルーマン大統領はその後7年連続で始球式をおこなっている。

 2005年にワシントンにMLBチームが戻るとジョージ・ブッシュ大統領が伝統を再開。バラク・オバマ大統領は最初のタフト大統領から100年の記念となることを目的に敢えて1年目は行わず、2年目の2010年に行った。この時ナショナルズのジャケットを着ていたものの、ファンであるホワイトソックスの帽子をかぶっていたことが話題になっている。

 全体としてはワシントンにチームがある時期に在任したこれまでの大統領は13人全員が計47回、開幕戦で始球式を行ってきた。

 これほどの伝統を覆したトランプ大統領への風当たりはさらに高まりそうだ。