元ヤンキースのデレク・ジーター氏が前フロリダ州知事のジェブ・ブッシュ氏と共同でマーリンズを買収に乗り出した模様だ。19日、地元紙マイアミ・ヘラルドの電子版やAP通信が伝えたもの。ブッシュ氏はジョージ・W・ブッシュ第41代大統領の弟で、トランプ現大統領と共和党の候補者指名争いを戦ったことことでも知られる。

 ジーター氏は20年間ヤンキース一筋にプレーし、攻走守の揃った名遊撃手として活躍し、ザ・キャプテンというニックネームで親しまれた。2014年のシーズンを最後に現役を引退している。背番号2は昨年永久欠番となることが発表されており、5月にはヤンキースタジアムで記念式典が行われる予定だ。

 一方、現在のマーリンズ・オーナー、ジェフリー・ロリア氏は元々エキスポズの共同オーナーだったが、2002年にマーリンズを買収している。買収額は1億6000万ドル程度の模様だ。オーナー就任の翌年、2003年にマーリンズはワールドシリーズを制覇している。しかしその後は有力選手を放出したうえ、選手年俸総額を低く抑えるチーム経営を行ってきたため、成績低迷が続いてきた。当然のごとく人気も下がり、2012年に新スタジアム、マーリンズパークがオープンした直後はいくぶん持ち直したものの、現在は再び低下傾向にある。以前紹介した経済誌フォーブスによるチーム資産価値ランキングでは25位の9億4000万ドルと評価されている状況だ。

 こうしたこともあってマーリンズが売却されるのではないかという報道が昨年末ごろから盛んにされるようになったのである。2月にはトランプ大統領の娘婿、クシュナー大統領上級顧問の一族による買収に向けた動きが報じられたりもした。さらに最近ではジーター氏、ブッシュ氏はそれぞれ別の投資グループのメンバーとして計3つのグループが買収に向けてロリア氏などと交渉に入っていると伝えられていたのである。

 それが今回、ジーター氏とブッシュ氏が共同体制を組んだということで、買収実現の可能性がさらに高まったと考えられているのだ。買収額はロリア氏の買収額やフォーブスの資産価値を大きく超える16億ドルになるのではとも報じられている。ただチーム社長などは売却について話し合いがもたれていることは認めているものの、ジーター氏側からもブッシュ氏側からもこの件についてのコメントは出ていない。

 イチロー外野手と田沢純一投手が所属するチームであるだけに、すんなりと決着してくれるといいのだが。