前回紹介した元ヤンキースのデレク・ジーター氏とジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事のグループによるマーリンズ買収の動きが急進を見せた。地元紙マイアミ・ヘラルド電子版が25日付でマリーンズがチーム売却に合意したと報じたのだ。

 ただ記事によればまだ最終的な契約に向けた作業が残っているうえ、他のオーナーらの75%以上の同意などMLBによる承認も必要で、最終決定までには数カ月を要するだろうということだ。実際にチームの譲渡が決まれば2012年のマジック・ジョンソン氏らのグループによるドジャース以来となる。

 気になる買収額だが、当初16億ドルと報道されていたが、13億ドルにまで下がった模様だ。これは経済誌フォーブスがマーリンズの資産価値を9億4000万ドルと評価したことが影響したと見られる。それでも2012年のドジャース買収額20億ドルに次ぐ額だ。

 今後のチームの運営体制だが、記事によればブッシュ氏が「フランチャイズの決断を最終的にコントロールする」役割を担うとし、実質的に筆頭オーナーに就く模様だ。対してジーター氏も「アクティブな役割」を果たすとしており、積極的にチーム経営に関わっていく姿勢を見せているということである。

 ジーター氏は2014年の現役引退前のインタビューで、チームを所有することが「次の究極の目標」と語っていた。そして所属していたヤンキースの元オーナー、故ジョージ・スタインブレナー氏のようなオーナーになりたいと話している。「どのように組織を運営するか(スタインブレナー氏)から多くを学んだ。あのようになりたい。自分の意見は、たしかに少し偏っているかもしれないけど、彼は全てのスポーツにおいて最高のオーナーだったと思う」とその心中を明かしていた。

 ジーター氏はまだ42歳。今回の買収劇でこれまで以上の注目を集めることになったが、買収が承認され、チーム経営の場に立てば、さらに経験を積んでその存在感を増すに違いない。そうすることで彼の望む次の目標に一歩ずつ近づくことだろう。そのとき現役時代ザ・キャプテンの愛称で親しまれたジーター氏がどんな風に呼ばれるか今から楽しみである。