ここ数カ月チームの売却交渉に関する話題が目立っていたマーリンズ。現地12日にはデービッド・サムソン社長が実業家のブルース・シャーマン氏、元ヤンキースのデレク・ジーター氏らを中心とするグループに球団を売却することで基本合意に達したことを発表し、それによる影響についてさまざまな話題が出ている状況だ。そんななかある意味本来の、ともいうべき選手の活躍に全米の注目が集まっている。それも少々複雑な状況で。

 その注目選手とはジャンカルロ・スタントン外野手だ。強打で知られるスタントンはこれまで4回オールスターに選出され、37本塁打を放ちナ・リーグ本塁打王に輝いた2014年にはシルバースラッガー賞も受賞している。

 ただ今シーズンのスタントンは昨年まで以上の大活躍を見せているのだ。開幕から好調だったスタントンは7月4日までのシーズン前半で21本塁打、 出塁率と長打率とを足し合わせた値OPSで0・870をマークしている。しかしすごいのは7月5日からのシーズン後半で、この日のカーディナルス戦でいきなり2本塁打を放つと15日までの35試合で23本塁打を記録したのだ。

 しかも8月10日のナショナルズ戦を皮切りに毎試合本塁打を打ち続け、遂に15日のジャイアンツ戦で連続本塁打は6試合となった。MLBの連続本塁打記録はデール・ロングとケン・グリフィー・ジュニア、そして現在マーリンズの監督であるドン・マッティングリーが記録した8試合。今回この記録に並び、抜くのでは、と期待されたのである。

 迎えた16日のジャイアンツ戦でマーリンズは8対1で勝利したものの、スタントンから本塁打が出ることはなかった。連続本塁打は6でストップしている。

 とはいえ、この試合でも2安打しており、OPSは1・023と1を突破している状況だ。本塁打数も44で自己最高を更新し続けている。このペースを維持すれば62に達するという予測まで出ているのだ。

 そんなスタントンが俄然注目を集めている背景はもう一つある。それはトレードされる可能性が高まっているからだ。チームがスタントンをウエーバーにかけ、これがクリアされていたと米ヤフー電子版などが報じているのである。

 2014年にスタントンは13年3億2500万ドルという大型契約を結んでおり、まだ10年2億9500万ドルの支払いが残っている状況なのだ。マーリンズとしてはチームの売却もあり、身軽になってチームの再建に取り組みたい事情がある。一方でこれだけ大型の契約となるとトレードを成立させるのは容易ではない。ただ報道では少なくとも4チームが接触してきたということである。

 スタントンの活躍がどこまで続くか、そしてそれが最終的にどんなユニフォーム姿でか、注目は続く。