MLBを観戦しながらスタジアムで食べるものといったら何を思い浮かべるだろうか。ホットドッグにポップコーン、子供がいればポップコーンを蜜でコーティングしたクラッカー・ジャックといったところだろうか。たしかにこのあたりは定番中の定番だ。しかし近年ではどのチームも収益をあげるためスタジアム内の飲食、いわゆるスタジアム・グルメに力を入れるようになっている。例えば、メッツのシティ・フィールドでは日本でも大人気の高級ハンバーガー・チェーン、シェイクシャックの店舗があったりするほどだ。

 MLBはそんな進化するスタジアム・グルメに関するイベントを来月初開催する予定だ。ニューヨーク、マンハッタンで4月21、22日に行われる「フードフェスト」である。これは「30のボールパーク、1つのプレート」をテーマに、MLB30チームの本拠スタジアムで販売されている名物料理を各チーム1品ずつ出品し、楽しめるというもの。

 「平均的なボールパーク・フードではなく、ファンのお気に入りで、各ボールパークがスタジアムで受けられる経験でも平均以上のものが選ばれた」と謳われている。

 提供されるフードは実際にスタジアムで提供されているものの半分の大きさで、25ドルのチケットで全30品を1回ずつ食べられるようになっているということだ。40ドルでビール3杯付きのチケットもある。またMLB公式ホットドッグやポップコーンといった定番フードもしっかり提供されるとのことだ。

 気になるどのチームがどんなフードを出品するかだが、メッツだとクラシック・NYデリ・パストラミ・サンドウィッチとなっている。これはパストラミ・ハムを使ったニューヨークの名物サンドウィッチだ。対してヤンキースはアドボ・バオ。日本では聞き慣れないフードだが、チキンやポークの照り焼きを中華風のバンズに挟んだもので、たしかにヤンキー・スタジアムだけでなく、最近ニューヨークでは人気のフードである。

 またカブスがシカゴ・ドッグだったり、地元に日系人の多いエンゼルスがポーク・カツ(とんかつ)だったり、となるほどと思わされるフードが多い。

 そんななかで一番ユニークと感じたのが、マリナーズのトーステッド・グラスホッパーズである。これはバッタをトーストしたスナックなのだ。日本でもイナゴを食べるが、メキシコ料理にもバッタを使った料理があり、アメリカでもメキシコ・レストランでしばしば供されている。マリナーズのセーフコ・フィールドでは昨年から地元メキシコ・レストランが出店し、1杯4ドルで販売、人気になっているのだとか。

 こうしたスタジアム・フードのような新たな入り口によってMLBへの関心を高めようとする取り組みは今後も続きそうである。