アメリカで「国民の娯楽」と呼ばれるMLBだが、今シーズン家族で観戦すると平均230.64ドル(約2万5300円)必要、という調査結果が現地23日に発表された。調査会社チーム・マーケティング・レポートによる2018年版ファン・コスト・インデックス(FCI)だ。

 FCIは同社がMLB30スタジアムの平均価格のチケット4枚、ソフトドリンク4杯、ホットドッグ4本、2杯のビール、2つの帽子、さらに駐車料金1台分の価格を調査し、合計金額で示したもの。家族4人で観戦することを想定している。

 今回、MLB全体の平均はチケット代が32.44ドル、ビールが5.98ドル、ソフトドリンクが4.65ドル、ホットドッグが5.01ドル、駐車場代が15.42ドル、帽子が17.45ドルで、FCIは230.64ドルだった。

 FCIが最も高いのはカブスで368.28ドル。特にチケット代が全チームの中で最も高くで58.57ドルとなっていることが主な要因だ。2位はレッドソックスで345.88ドル、3位がヤンキースで301.46ドルと続く。

 一方FCIが最も低いのはダイヤモンドバックスで145.58ドルだった。カブスやレッドソックスの半分以下で観戦できることになる。ダイヤモンドバックスは10年連続でFCI最下位となった。これについてダイヤモンドバックスのデリック・ホール社長はこの件に関し、地元ラジオ局に「我々のゴールはいつもMLBだけでなく、全てのプロスポーツチームにおいて最も快適でファンフレンドリーなチームの一つであることだ。10年間FCIで最下位であることを大いにプライドに思うし、家族が試合を楽しめる快適な価格設定をしていることを誇りに思う」と語っている。

 一方で、興味深いのがチケット価格についてだ。先に挙げたように50ドルを超えたチームはカブスとレッドソックスの2チームしかなかった。20ドル未満は19.65ドルのダイヤモンドバックスだけである。ただしチケット代では6位となる41.13ドルのドジャースは昨年より14.5%も価格が上昇しているのだ。昨年の好記録で強気に出たことがうかがえる。平均では2.7%のアップとなったが、フィリーズやパドレスなど値下げをしたチームも6チームあった。MLBのビジネスは強気一辺倒というイメージがあるが、各チームそれぞれに収益の最適化を考え動いているのである。

 またこのチケット価格は一般的なシーズンチケットを1試合分に分けて算定されており、実勢価格と言えない面もある。今回FCIでは豪華なプレミアム席の平均チケット代も分けて算定されており、そちらは一般チケットよりも跳ね上がる。ヤンキースの場合一般チケットは47.62ドルだが、プレミアム・チケットは全チームで最も高い346.53ドルだった。

 さらにアメリカではチケットの二次流通も盛んで、人気の試合は取引価格は高くなる。ヤンキースのホーム開幕戦の平均取引価格は218ドルだった。

 いずれにせよ、「国民の娯楽」を楽しむにはなかなかのお金が必要になっているのは事実のようである。