投手を鋭い打球が襲う場面を見るたびに肝を冷やされた方も多いのではないだろうか。実際、MLBでは今シーズンのオープン戦でレッズの守護神アロルディス・チャプマン投手が顔面にライナーを受け、大けがをするアクシデントが起こっている。また、日本のプロ野球でもヤクルトの小川泰弘投手が18日の阪神戦で顔面付近に飛んできたライナーを右手の手のひらに受け、骨折する事故もあった。

 アメリカでは現在、こうした負傷を少しでも減らそうという取り組みが行われている。特殊なパッドを使ったプロテクターなどを販売するスポーツ・メーカー、isoBLOXによる頭部保護を目的とした帽子の開発だ。その製品が今年初めにMLBから正式に認可を受けている。

 特徴は帽子の前面と側面にパッドが内蔵されている点だ。このパッドにより打球による衝撃を減らそうというのである。パッドは厚さが2cmほどあり、従来の帽子と比べるとかなり前に飛び出したようなシルエットになり、正直あまり格好良くない。

 また重量も約300gほどあり、普通の帽子の3倍ほどもある。しかも前方にパッドが仕込まれているので、被っているとバランス的にプレーに影響を与えそうだ。さらにパッドが頭頂部や後部にない点も気になるところである。

 スプリング・トレーニングから選手達によって試されている他、スポーツ・リポーター、バリー・デイビス氏のツィートによれば19日にはブルージェイズのトッド・レッドモンド投手がゲーム前この保護帽子を被って見せたということだ。こうした選手たちからは既に被り心地や通気性などで改善を求める声が寄せられているという。

 いっそヘルメットにしてしまえば、という声も出そうだが、やはりベースボールでは帽子で守備につく、というのも譲れない文化なのかもしれない。

 とはいえ、本塁での体当たり禁止など深刻な負傷を起こすようなプレーを制限し、選手を守ろうという機運はMLBだけでなくアメリカのスポーツ界全体で高まっている状況だ。ホットなトピックなのである。それだけにこの保護帽子の開発もさらに進んでいきそうだ。今後選手達がどんなスタイルでプレーしていくのかもチェック・ポイントとなりそうである。