27日、ニューヨーク州クーパーズタウンで毎年恒例の野球殿堂入り式典が行われた。今年選出されたのはブレーブスなどで通算355勝の右腕グレグ・マダックス氏、やはりブレーブスなどで305勝を挙げた左腕トム・グラビン氏、ホワイトソックスなどで521本塁打のフランク・トーマス氏の3人。いずれも候補1年目での殿堂入りだが、誰もが納得する名選手ばかりである。


 その一方で、式典の前日、26日に同殿堂は大きなルール変更を発表し、注目を集めることとなった。元選手の殿堂入り資格期限をこれまでの15年間から10年に短縮するというのである。これについて老舗スポーツ総合誌スポーツ・イラストレイテッドのトム・ベルドッチ記者はテレビ番組でルール変更のわけを「10年で十分」と説明したということだ。


 変更は来年から実施されるが、当然急に資格を失ってしまった元選手も出ることになる。そんななかで現在候補に入っている222本塁打で監督としても実績がある元ヤンキースのドン・マッティングリー氏(14年)、元タイガースでやはり監督も務めたアラン・トランメル氏(13年)、カブスなどで478セーブを挙げた右腕リー・スミス氏(11年)の3氏はこれまでどおり15年まで資格を有する特例扱いになるということだ。


 これまで10年以上かかって選出された元選手もおり、果たしてこのルール変更が妥当かどうか今後議論がされていくことになるかもしれない。


 一方で、この短縮はステロイドなど禁止薬物に関連した元選手が長い期間を経ることによってその悪いイメージが消え、殿堂入りしてしまうことを防ぐためだと指摘する人もいる。たしかにスキャンダルの風化によりそのようなことが起こる可能性はないではない。


 ちなみにルール変更後、通算583本塁打ながらステロイド使用を告白した元アスレチックス、マーク・マクガイア氏の資格はあと2年、薬物使用の疑惑が強く疑われているサイ・ヤング賞7回の元ヤンキース、ロジャー・クレメンス氏や通算762本塁打の元ジャイアンツ、バリー・ボンズ氏はあと8年残ることとなる。


 新ルール下でこれらの選手が殿堂入りできるかどうかも注目されていくことだろう。