14日にボルティモアで開催されたMLBのオーナー会議で、来年1月に退任するバド・セリグ・コミッショナーの後任にMLB最高執行責任者のロブ・マンフレッド氏が選出された。


 AP通信などによると、最終候補はマンフレッド氏、MLB事業担当副会長のティム・ブロスナン氏、レッドソックス会長のトム・ワーナー氏の3人で、最初にブロスナン氏が辞退したということである。その後全オーナーによる投票は1度めがマンフレッド氏が22票を獲得。承認に必要な4分の3以上に当たる23票に届かなかったが、2度目の投票で満票を集めた。


 この選定に対し、アメリカの多くのメディアはオーナーたちがセリグ時代からの大きな改革よりも現状維持を望んだ結果だという意見が多い。このことはマンフレッド氏自身が発表記者会見で課題について聞かれ「最大の課題はたぶん自分の右にいる紳士(セリグ氏)の後釜に座ることだと思う」と話したことにも現れていたというのだ。さらに「彼は30のクラブの間で統一された素晴らしい伝統を確立しました。ゲームを前進させるため、私はその統一された伝統を守るために一生懸命働いていくつもりです」と語ったということである。


 マンフレッド氏は弁護士として1980年代から労使交渉などでMLBに携わるようになり、94年にストライキが起きた際にはオーナー側の相談役を務めた後、98年にセリグ氏のコミッショナー就任に併せてMLB入りした。その後セリグ氏の右腕として、労使交渉や薬物問題などで活躍している。特に度重なる労使交渉でいずれもストライキを回避した実績が評価されたとされている。たしかにセリグ路線を引き継ぐには最適な人物だということができるかもしれない。


 ただ全オーナーがマンフレッド氏を最初から推し、現状維持を望んでいたのではないようだ。ニューヨークの地元紙、デイリー・ニューズによればメッツのフレッド・ウィルポン・オーナーなどがマンフレッド氏を推していたのに対し、ホワイトソックスのジェリー・レインドルフ・オーナーなどはマンフレッド氏の姿勢はソフトすぎると反対しワーナー氏を推していたということである。


 これまでマンフレッド氏がまとめた労使協定は選手会側に有利な内容だったというのがレインドルフ氏などの考えだったようだ。次の交渉ではもっと強く出られる人物にしたほうが良いというのである。賛同者は10人ほどいたようだ。ただそれでも2回目の投票では満票になったのは前述のとおりである。


 今後まずゲーム時間の短縮化などに取り組むと見られるマンフレッド氏がどんな手腕を発揮するか1月以降が楽しみだ。