先月31日に発表されたジョー・マドン氏のカブス監督就任騒動が大きなスキャンダルに発展するかもしれない。


 今シーズンまでレイズを監督して率いてきたマドン氏は2008年にレイズをワールドシリーズ進出に導き、2008年と2011年には最優秀監督に輝くなど、現在監督として最も評価されている人物の一人である。


 そんなマドン氏を巡って動きが起こったのは先月24日のことだった。レイズが、マドン氏が残り1年の契約をオプション行使して破棄し、退任したと発表したのである。これによりマドン氏の行方が一挙に注目されることとなったのだ。代理人のアラン・ニーロ氏の元には約10チームからオファーが届いていたとされる。


 そしてわずか1週間で、発表されたのがカブスの監督就任だった。今年3年契約で起用したばかりのリック・レンテリア監督を解任し、マドン氏を迎えることを明らかにしたのである。


 カブスは今シーズン、ナ・リーグ中地区最下位だったので、有力監督を迎えて巻き返しを図る意図があるのは明確だ。しかし、わずか1年でレンテリア氏を解任するのは不公平で不当ではないか、という批判が巻き起こることになったのである。これに対し、カブスのセオ・エプスタイン副社長は「解任は間違いだったと認識している。レンテリア前監督に対して公平ではなかったということだ。彼と一緒に仕事をするのは今年が初めてだったが、良い仕事をしてくれた。来年の話もしていたが、袂を分かつことになった」と釈明したということだ。


 さらに短期間にカブスに決まったことも注目されている。実は2004年にマドン氏がレッドソックスの監督候補に挙がったとき、エプスタイン氏はレッドソックスのGMをしており、旧知の仲なのだ。このため、マドン氏がレイズとの契約を破棄する前、つまり契約を結んでいた時期にカブスと契約交渉したのではないか、いわゆるタンパリングが行われたのではないか、と疑われているのである。


 エプスタイン氏は「マドン氏がフリーエージェントになったため」と事後交渉だったとコメントしているが、不自然さを感じる人が出るのは否めないだろう。


 10日付けのニューヨーク・ポストによれば、この件についてレイズはMLBに正式に調査要請を出し、アレックス・ロドリゲスの禁止薬物使用騒動で調査を行ったのと同じ調査グループが現在調べを進めているということだ。


 もしタンパリングが認定されるとレイズには賠償金や選手、ドラフト指名権などの補償が行われることになる。


 大物監督とはこんな騒動を引き起こすほど、重要な存在であることを改めて認識させられることとなった。