【ジュピター(米フロリダ州)24日(日本時間25日未明)=四竈衛】今季からマーリンズに移籍したイチロー外野手(41)が、背番号「51」を背にした新しいユニホームに袖を通した。キャンプイン当日、練習開始に先立ちメディア対応でお披露目した。前日23日にはキャンプ地到着時に恒例化してきたオリジナルTシャツでユーモア感を発揮したほか、新スパイク、新カラーのグラブ、15年ぶりの白バットなどを披露。随所に「心機一転」の気持ちを秘めていた。

 新天地マ軍での再出発にかける熱い思いを、イチローはいたるところにちりばめていた。初めて球団施設に足を踏み入れると、すぐにマ軍のチームカラーでもある黒とオレンジの練習着でフィールドに登場。その時点で、随所に変化を見せていた。

 最大の違いは、足元のシューズだった。99年以来、世界最軽量といわれる片足230グラムのA社製のスパイクを着用していたが、今季からは新鋭ブランドの「ビモロ」に変更。野球用具に関して、これまで常に「僕の体の一部」と言い続けてきたイチローが、41歳にして微妙なモデルチェンジのみならず、メーカー自体を替えることは、決して簡単な判断ではなかったに違いない。この日はトレーニングシューズだけだったが、これまで長年履き慣れたものから新タイプに変えたのも、今季だけでなく、今後の野球人生を見据えたからにほかならない。

 米国で2844本の安打を積み重ねてきたバットの色も変えた。重さ890グラム、長さ33インチ(約83・8センチ)と大きさや形状こそこれまでと同じとはいえ、メジャー入りの際に変えた漆黒と惜別。当面は、オリックスに在籍した00年以来、15年ぶりに木製本来の白色バットに戻すことを決断した。さらに、長年、紺色だったグラブの色も、マーリンズカラーに近いオレンジへ移行。サングラスの縁もオレンジ色を用意するなど、随所に「心機一転」の気持ちをちりばめた。

 練習後には、クラブハウス周辺で待ち受けていたファンに対し、即席のミニサイン会を実施。最後は「イチロー・コール」が起こるなど、キャンプ初日を前に注目度も高まってきた。メジャー15年目、日米通算24年目の再スタートで見せた変化。いつもと変わらないクールな表情をよそに、イチローの思いは、かなり熱い。

 ◆イチローの新スパイク 鳥取市内でスポーツジムなどを営む「ワールドウィング・エンタープライズ」の代表を務める小山裕史氏を中心に、「初動負荷理論」に基づく、神経筋機能を高める目的で新タイプのシューズを開発。2013年10月、ブランド名「BEMOLO」で商品化に成功した。骨盤や股関節への動きに柔軟性を加える特殊技術が特徴。すでに山本昌、山井、吉見(いずれも中日)らが愛用している。今季からジャイアンツへ移籍した青木も着用する予定。