【ジュピター(米フロリダ州)24日(日本時間25日)=四竈衛】今季からマーリンズに移籍したイチロー外野手(41)が、キャンプ初日から強烈な存在感を見せつけた。マリナーズ時代以来となる背番号「51」のユニホーム姿は、米メディアだけでなく地元ファンの間でも注目の的。フリー打撃では、主砲スタントン、オズナとの主力組に入るなど、最大の敬意を受けながら、新天地での第1歩を踏み出した。

 キャンプ初日の全体練習前。米メディア向けの会見へ真っ先に呼ばれたのは、レドモンド監督でも、メジャー最高契約を結んだスタントンでもなく、イチローだった。地元テレビ局は詰め掛けた日本報道陣にも取材するなど、主役は間違いなくイチローだった。

 イチローは若い選手に交じりながら笑みが絶えなかった。英語、スペイン語を駆使して積極的にコミュニケーションを図った。「明るいんじゃないですか。ラテン系の選手が多いですから。ノリは僕とは違いますけど。ちょっとムネ(ブルージェイズ川崎)寄り。でも、明るいのは、僕好きなので。いいなと思いましたね」。若い選手が、自ら名前を名乗って握手を求めて来る光景が相次いだ。明らかに特別な存在感だった。

 ただ、シビアな戦いの始まりでもある。現時点では「外野の4番手」という立場。若手から手本とされる存在であっても、定位置を争うライバルとなる。「立場は同じ。選手ですから。僕から何か(助言など)というのはまったくないですけどね」。米メディアの取材でチーム内の役割を問われた際には「23歳とか25歳の選手が多いので、キャンプでそれを見つけて。とりあえずバットがつえに見えないようにがんばります」とジョークを交えながら、41歳…大リーグ契約最年長野手として迎える今季への決意を述べた。

 明るさの中にも、厳しさがのぞいた合流初日。世界一となった03年以来のプレーオフ進出を目指すマ軍、そしてイチローのプロ24年目がスタートした。