【サプライズ(米アリゾナ州)1日(日本時間2日)=佐藤直子通信員】レンジャーズのダルビッシュ有投手(28)が開幕投手を「当確」にした。紅白戦で約7カ月ぶりの実戦マウンドに上がり、1回を3者凡退、2三振を奪う貫禄のパフォーマンスを披露。対照的に、対抗馬と目された左腕ホランドが肩の張りで登板を回避し、開幕投手争いで大きくリードした。オープン戦は5日(同6日)ロイヤルズ戦に初登板(先発)することが決定。開幕戦の4月6日(同7日)アスレチックス戦に向けて準備を進める。

 「Great!」。昨年8月9日のアストロズ戦以来となる試合。ダルビッシュは登板後の記者会見でこの日の内容を問われると、開口一番、英語で答えた。

 自らも納得する順調な仕上がりだった。紅白戦は主力組で先発し、1回を簡単に3者凡退。先頭リチャードソンをスライダーで二ゴロに打ち取ると、続くオドルはスライダーで空振り三振、最後はチョイスをスローカーブで空振り三振。最速94マイル(約151キロ)と速球にも伸びがあり、球速差約50キロで若手の3人を寄せ付けず、わずか14球で3アウトを奪った。

 この日の収穫は、左打者オドルに対して投げた3球目チェンジアップだった。2球で追い込んだ後、外角低めのチェンジアップはわずかに外れたが、直後の決め球スライダーを生かす布石となった。クラブハウスでオドルが「あの球はすごかった」と驚くと、ダルビッシュは「言っただろ」とニヤリ。正捕手のチリーノスは「素晴らしい出来。個人的にはあの球が大きなカギになると思う」とポイントに挙げた。

 ダニエルズGMやバニスター監督に加え、交際中で妊娠4カ月の元レスリング世界女王・山本聖子(34)が応援する前で、期待通りのパフォーマンスを演じた。対抗馬筆頭のホランドがこの日、左肩の張りを訴えて紅白戦登板を回避。数日間は休養する予定で、開幕投手争いはダルビッシュが大きくリードした。昨季も1度は指名されたが、開幕直前に首を痛めて断念しており、メジャー4年目で初の大役の座が現実味を帯びてきた。

 ダルビッシュは「頭でイメージしていることが体現できている感覚がある。やりたいことはすごくできています」と話し、昨夏に炎症を患った右肘も「まったく痛くないし、かなりいい状態です」と自信をにじませた。試合後は、支度を待っていた山本と仲良く帰宅した。公私ともに充実の今シーズンは、次々と福が舞い込んで来そうだ。

 ◆レンジャーズ今季の先発陣 左腕エースのホランドは昨季も膝の故障で大部分を離脱しており、今季も様子を見ながらのスタートになりそう。ルイス(元広島)も右肘の靱帯(じんたい)再建術から昨年4月に復帰したが、まだ本調子とはいえない。ガヤードは昨季までブルワーズのエースだったが、新たなリーグに慣れる期間が必要。4本柱まで確定するが、キャンプインから好調を持続するダルビッシュが、開幕投手に抜てきされる可能性が高い。