【メサ(米アリゾナ州)3日(日本時間4日)=佐藤直子通信員】本領発揮の「らしさ」全開でデビューした。ジャイアンツ青木宣親外野手(33=前ロイヤルズ)が今季初オープン戦となるアスレチックス戦に「1番中堅」で先発出場し、3打数1安打。2打席目の3回にバント安打で好機を広げるなど巧者ぶりは健在で、ワールドシリーズ連覇を狙う名門軍団の一員として好発進した。

 変わらない試合巧者ぶりで名将をうならせた。青木の持ち味は第2打席に発揮された。3点を追う3回無死二塁。「最悪でも送ればいい」と、自らの判断で初球の外角速球を三塁方向に絶妙なバント。自らも送球より一瞬早く、一塁ベースを駆け抜けて内野安打にした。無死一、三塁と好機を広げただけでなく、次打者の打席ではけん制された直後に二盗成功。「ギャンブルに近いけど、ちょっと思い切ってみました」と、敵にプレッシャーを与え続けて得点につなげた。

 慣れ親しんだ「1番」で先頭打席に立った1回も、二ゴロながら8球を投げさせた。過去5年で3度の世界一をつかんだボウチー監督を「(第3打席の)投ゴロもいい当たりだったし、全て左投手でもいい打席ばかり。素晴らしい新戦力が加わった」と喜ばせた。

 契約直後は「下位起用」を報じられたが、青木が目指すのは「1、2番」での定着だ。1番は中堅パガンの指定席だが、過去2年は故障が目立った。首脳陣は青木の機動力と選球眼を高く評価しており、オープン戦では「1番青木、3番パガン」の新ラインアップを積極的に試す予定だ。

 青木もキャンプイン時に「自分はそういう選手だと思っているし、必ずそうなると思う」と打順上位の愛着を語っていた。初戦を終えて、「僕を知ってもらう必要があるし、とにかく全力でやるつもり。結果も大事だし、内容も大事」と新人のような心意気を口にした。メジャー4年目の春を迎えてもおごらず、初心を忘れず、チームでの立ち位置を築いていく。

 ◆青木のワールドシリーズ(WS) ロイヤルズ時代の昨年に初出場。第1戦は「2番右翼」で出場し、1回にジャイアンツのエース左腕バムガーナーに好捕されたものの鋭い当たりの投直。3回1死二、三塁では惜しくもファウルになったが、力のある速球を積極的に打ちにいった。第4戦では好機の代打で併殺打に倒れるなど苦しんだが、第6戦では再び2番で先発復帰。1-0の2回1死満塁で、ファウルなどで粘った7球目のツーシームを三遊間にはじき返す1点適時打を放った。地区シリーズとリーグ優勝決定シリーズでは、23打数7安打1打点5得点、守備でもスーパーキャッチを披露する活躍だった。そのため、WSでは研究され、チームも第7戦を落として敗退したが、青木はしぶとく存在感を発揮した。