【タンパ(米フロリダ州)24日(日本時間25日)=四竈衛】ヤンキース田中将大投手(26)が、メジャー2年目で初めて開幕投手を務めることが濃厚となった。エース左腕サバシアが28日(同29日)オリオールズ戦に登板することが決まり、残り試合のローテーションから、25日(26日)メッツ戦に先発する田中が中5日の間隔で4月6日(同7日午前2時5分開始)の開幕戦にピタリとはまることが判明した。ジラルディ監督は明言していないが、本拠地ヤンキースタジアムでのブルージェイズ戦で、大役を任されることが確実となった。

 覇権奪回を目指すヤンキースにとって、今季の柱は、やはり田中だった。ジラルディ監督は練習前、開幕投手について「フレキシブルに考えている」と慎重に言葉を選んだ。その一方で、今後のオープン戦の登板予定に関して、サバシアが28日に登板することを明言した。サバシアは中4日の間隔で投げるため、4月2日に登板した後は、中3日で開幕を迎えることになり、これは体調面を考慮すると難しい状況。中5日で、8日の第2戦に回るのが自然な流れだ。田中は25日に登板し、その後は中5日の間隔を保てることから、はからずも田中の開幕投手が濃厚となった。

 これまでヤ軍首脳陣はサバシアと田中の2人が、どちらも開幕日に登板可能になる日程で実戦予定を組んできた。昨季、左ヒザを手術した左腕に対し、田中は右肘靱帯(じんたい)の部分断裂が判明。ともに無理をさせない方針を固め、開幕まで「両にらみ」の状態で調整を見守ってきた。

 ただ、開幕まで2週間を切ったことで、ローテ編成を本格的に検討し始めた。過去2試合で5回2/3を2安打無失点の田中に対し、サバシアは2試合、4回2/3を投げて6失点。依然として、田中の体調次第との条件付きながら、過去11回、開幕投手を務めたサバシアに代わり、2年目ながら安定感抜群の田中の大役が「内定」した。

 もっとも、正式に発表されていない現段階で、田中自身に「開幕投手」の気負いはない。「やっぱり特別なものだと思いますけど、僕自身は去年、シーズンの半分しか戦えていないので、フルシーズン戦うことが最大の目標。開幕投手を絶対やりたいとか、そういう気持ちは今の時点ではないです」と努めて冷静に話した。

 オープン戦3戦目となる今日25日のメッツ戦への意識は高い。「シーズンに入って打たれるのはいいものではない。オープン戦の間に打たれても、ネガティブにならずに済むと思うので、チャレンジしてみたいですね」。ピンチで痛打されることも想定の範囲内。「1年間、戦えることが一番だと思います」と話した。開幕投手の最有力となっただけでなく、田中の姿勢には、ヤ軍のエースとしての自覚がにじみ出ていた。