マーリンズ・イチロー外野手(41)が珍しく飛球の目測を誤った。フィリーズ戦9回裏、1死一塁の場面の守備だった。ラフが高々と打ち上げた打球が、強風に流されてぐんぐん進む。「場外ホームラン、どこまで飛んでいくんかなと思った」と、左翼定位置からフェンスに向かってダッシュした。不規則な風向きを見ると再び前進。ところが、ボールはさらに手前にポトリと落ちた。

 落下地点が予想した位置よりも前になることはなかなかない。「想定外のことはほとんど起きないけど、最後のは想定外」。気まますぎる風向きに「旗(の動き)なんか関係ない」と真顔で振り返った。ラフは二塁打となり、走者二、三塁に。次打者の犠飛で、マ軍は1点を失った。

 レドモンド監督は「イチローでもああなる。それくらい強い風だった」とフォローを入れた。9回表までに9点の大量リードがあったため、勝敗には影響しなかったが「あんなのは野球と認められない。あれが捕れるのはよほど下手なやつだ」とイチロー節でぼやいた。6番で臨んだ打撃では3試合連続安打をマークしたが、このワンプレーゆえに、イチローは最後まで悔しそうだった。