【クリーブランド(米オハイオ州)=佐藤直子通信員】和田ってすごいんだぜ! カブス和田毅投手(34)が、6戦目でようやく今季初勝利を挙げた。今季最長となる7回を投げて4安打無失点。最近2試合は4回持たずに降板する悔しさを味わっていたが、この日は味方の大量援護にも助けられた。メジャー最多107球の力投で勝利に大貢献した。投球も試合後のインタビューも、チャンスを与え続けてくれたマドン監督の期待に応えた。

 “6度目の正直”でつかんだ初勝利に、和田はさわやかな笑みを浮かべた。序盤に10点の大量援護を受けて7回無失点の好投を見せた。「クオリティースタート(6回以上3失点以下)が1回もなかった。そこが一番ホッとしている部分。7回はすごく意識しましたね」。白星以上に先発投手の役割を果たせたことを喜んだ。

 最近2試合は、いずれも4回途中で降板し中継ぎ陣に負担を強いた。思い描く投球ができず悩んでいた。そんな和田を救ったのは、前回登板後に行われたマドン監督との話し合いだった。和田が言う。「自分の投球スタイルや、カットボールを投げてみたいという話ができた。野球以外のこともいろいろ話せてスッキリした感じ。いい気分転換になりました」。

 効果はてきめんだった。この日はカットボールを多投。3回には左打者キプニスの外角に投げて中飛に打ち取り、6回には右打者リンドアの内角に投げて見逃し三振。「カットがうまく機能した。1つの新しい形が生まれた」と手応えをつかんだ。

 マドン監督からは「攻めの姿勢を貫いてほしい」と要望されたが、その思いにも応えた。全員初顔合わせのインディアンス打線を相手に「知られる前に攻めて、自分のペースにもっていけたら一番」と強気で向かった。打者との間合いも主導権を握って調整。「打者が打ちにくそうにしていた。タイミングや誤差を試合の中で調整できた」と自らの流れに持ち込んだ。

 試合後のインタビューも監督の助言通りだった。地元メディアに囲まれると、開口一番に「I am badass!(俺ってスゴイんだぜ!)」と言い放った。監督から「初勝利したら言うように」と言われていたフレーズを堂々と口にし、大爆笑を誘った。

 互いにワインをプレゼントする約束もしている。初勝利後は監督から。2勝目は和田から。とっておきの美酒をプレゼントできるよう、早くもその目は次戦の22日ドジャース戦を見据えた。