【ボストン(米マサチューセッツ州)=四竈衛】レッドソックス上原浩治投手(40)が、日本人投手としては佐々木主浩(日刊スポーツ評論家、元マリナーズ)以来2人目となる3年連続20セーブを挙げた。マーリンズ戦で4-3と1点リードの9回表に救援。無安打無失点で今季20セーブ目をマークした。MLBで40歳以上のシーズン20セーブは往年の名救援投手のリベラ、ホフマンらに次いで6人目の快挙となった。

 主砲オルティスの肩に担ぎ上げられる「儀式」を終えた上原は、すぐに気持ちを切り替えていた。1点差の緊迫する展開ながら、2者連続空振り三振などわずか11球の快テンポで完了。「もう終わったこと。ホッとしてます」。抑えても、打たれても、登板内容を引きずらない習性こそ、クローザーとして、長く、安定した結果を残す秘訣(ひけつ)だった。

 佐々木以来となる3年連続20セーブ。だが、今の上原に記録の感慨などない。「そのポジションにいるわけですから。20とかじゃ全然少ないと思います。もっともっとやらないといけないと思いますね」。米国で先発、中継ぎ、抑えをすべて経験しているベテランにとって、個人記録は仲間が支えてくれているという意識が強い。

 開幕を故障者リスト(DL)で迎え、黒星が先行するレ軍にいながらも、球宴前の時点で早々と節目の数字をクリアした。チームを3連勝に導き、ファレル監督も「去年までと同じ、安定したコウジらしさを取り戻している」と評価した。

 毎試合前、遠投を繰り返し、登板後は単身生活が続くボストン市内のホテル自室で、右肘の電気治療を欠かさない。地味でも、絶えることのないプロ意識が、記録として残った。「手応えっていうのは今のところ感じることはない。まだまだ伸びしろはあると思ってるんで、ここで満足してるようではダメだと思います」。

 40歳を目前にしながら、昨オフには2年総額1800万ドル(当時のレートで約18億9000万円)の高額契約を結んだ。その一方、抑えて当然、打たれれば酷評されてしまうのが、クローザーの宿命。「どこまでまでやらなくちゃいけないっていう線はない。果てしなくやりたい。それだけです」。メジャー球界で最高齢クローザーとなった上原は、今もなお、目先の数字などに、こだわっていない。

 ▼20セーブ以上を3年以上連続で達成した投手は、レ軍では上原が球団史上4人目。パペルボンが06~11年、ラダッツが62~65年、リアドンが90~92年に達成している。また40代で20セーブ以上を記録したのは、メジャー史上ではこれが6人目。過去にはリベラがヤンキース、ホフマンがパドレスとブルワーズ、ジョーンズがブルワーズ、エカーズリーがアスレチックスとカージナルス、ウィルヘルムがホワイトソックスで達成しており、史上屈指のクローザーが名を連ねている。

 ◆日本では岩瀬だけ 日本プロ野球で40歳以上シーズンの20セーブ到達は昨季の岩瀬(中日)だけ。74年11月10日生まれの岩瀬は昨季が満40歳シーズンになり、20セーブを挙げた。