マリナーズ岩隈久志投手(34)がノーヒットノーランの快挙を達成した。

 日本人投手としては、野茂英雄がドジャース時代の96年9月ロッキーズ戦、レッドソックス時代の01年4月オリオールズ戦で達成しており、2人目3度目となる偉業。メジャーではヘストン(ジャイアンツ)シャーザー(ナショナルズ)ハメルズ(当時フィリーズ、現レンジャーズ)に次いで今季4人目。

 9回を投げて無安打7奪三振3四球。116球の力投だった。

 1回から快調に飛ばした。「ちょっとコントロールはよくなかった」というが、序盤は高めの速球と内外角を突くスライダーを中心に、オリオールズ打線を圧倒。3回を投げ終えても、わずか29球とうい球数の少なさだった。

 唯一もたついた場面は、味方打線が2点を先制した直後の4回だ。先頭マチャドに四球を与えた後、2死から再びデービスを四球で歩かせて、2死一、二塁とした。だが、次打者パレデスをスプリットで空振り三振に仕留め、失点をまぬかれた。

 6回以降は、代名詞とも言えるスプリットを多用。「ゴロを打たせていくイメージで、しっかり(腕を)振りながら(球を)落とせたと思います」との言葉どおり、オリオールズ打線は為す術がなかった。

 大歓声の中でマウンドへ向かった9回。先頭ロウのファウルフライを三塁シーガーが好捕すると「これは(ノーヒットを達成)しなきゃいけない」と意識。最終打者パーラの打ったフライを中堅ジャクソンが捕球すると、両手を突き上げて喜んだ。

 「何て言ったらいいのか、うれしい気持ちしかない。ノーヒットノーランができるとは思っていなかった。させてもらった(という感覚)。チームのスタッフだったり、選手だったり、ファンだったり、家族の支えだったり、というものに感謝したい。(東北のファン)本当に1歩1歩前進して頑張っている東北の皆さんに1つ勇気を与えられたりしたのかなって思います」と笑顔を弾けさせた。