ポスティング制度でメジャー移籍を目指す広島前田健太投手(27)の移籍先がドジャースに決まり、7日(日本時間8日午前6時)に本拠地ドジャースタジアムで会見を行うことになった。8年契約で年俸総額2500万ドル(約30億円)だが、高額のインセンティブを含めると最大1億2100万ドル(約145億円)の契約となる見込み。現時点では「3番手」として評価されており、順調なら開幕第3戦となる4月6日(同7日)パドレス戦でメジャーデビューすることになりそうだ。

 正式契約を前に、いち早く前田のデビュープランが具体化してきた。現段階でド軍首脳陣から期待されているのが「3番手」。春季キャンプ、オープン戦を順調にこなせば、4月6日(同7日)、敵地サンディエゴでのパドレス戦で初登板することが有力となった。

 昨年末、前田と合意する以前の段階で、ドジャースは早々と5人の先発左腕をそろえていた。その一方で、全体のバランスを図る上でも計算できる右腕の獲得を画策。マリナーズに残留した岩隈との交渉が決裂した以降は、前田に一本化し、水面下での交渉を続けていた。

 メジャー経験がないとはいえ、抜群の制球力に加え、WBCなどの国際大会でも精神的な強さを発揮してきた前田に対し、ド軍は早い時期から「3番手以内」と評価してきた。開幕投手が確実視されるカーショー、新加入のカズミアーに続くのが前田。アンダーソン、ウッド、手術からの復活を目指す柳が、キャンプ、オープン戦を通して残りの2枠を争う見込みだ。実際、ウッドは昨季途中からトレードの有力候補に挙げられており、柳の復調、さらに故障中のベテラン右腕マッカーシーの復帰メドが確認できれば、開幕前にも放出への動きが活発化されるものとみられる。

 今オフの補強で、ド軍はメジャー屈指の「左腕王国」になったとはいえ、長丁場のシーズンを左投手だけで戦えるわけではない。右腕を挟むローテーションが得策で、3番手の前田はその中心的な役割を担うことになる。

 ポスティング申請された昨年12月、早穂夫人ら家族を伴って渡米し、現地の視察を済ませた前田にすれば、米国西海岸の住環境など生活面でも不安は少ない。ド軍とのサイン後は、古巣広島に譲渡金2000万ドル(約24億円)が支払われ、契約は完了。日本人メジャーとして最長となる8年契約を結ぶ前田にとって、本当の勝負がスタートすることになる。

 ◆ロサンゼルス・ドジャース 1883年ニューヨークのブルックリンで誕生。7年後にナ・リーグ加盟。1958年にロサンゼルス移転。野茂英雄ら多くの日本選手が在籍した。リーグ優勝21度、ワールドシリーズ6度制覇。2年連続で総年俸額トップ。本拠地はドジャースタジアム。地区4連覇がかかる今季は、母親が日本人で沖縄生まれのロバーツ新監督が就任。現役時代に野茂、石井両投手とチームメートだった新指揮官のもとで、28年ぶり世界一が期待されている。