米大リーグ、マーリンズのイチロー外野手(42)とオリックス新人選手による異例の“合同自主トレ”が実現した。23日、新人合同自主トレ中のほっともっと神戸にイチローが登場。普段は時間差で行われるが、この日はスケジュールの都合で偶然にも重複した。新人と交互にフリー打撃を行うなど、金の卵たちに貴重な経験を与えた。

 新人自主トレ開始から1時間後だった。視線が注がれる中、スーパースターが姿を見せた。最初は別々に練習を行っていたが、新人野手と同じタイミングでティー打撃を開始。ドラフト7位鈴木昂平内野手(24=三菱重工名古屋)と横並びで、まさかの「ダブル鈴木」共演となった。

 続けて打撃投手相手のフリー打撃。年齢を感じさせない美しく力強い打撃フォームから、次々とスタンドに放り込む。その姿を食い入るように見ていた後輩に、優しく声をかけた。

 「もし打つなら、打っていいよ。おじさん1人じゃあ、しんどいんやで~」。それでも遠慮がちな新人を「はよ来いやー!」と促すと、ドラフト10位杉本裕太郎外野手(24=JR西日本)が手を挙げた。

 緊張気味の杉本がライナーを打つと「おー、いいね。力ある」と声をかけた。育成2位で188センチ、113キロの赤松幸輔捕手(23=四国IL・香川)には「でかっ! キャプテン翼の難波のキーパー(中西太一)みたい」と巨漢をいじった。イチローも手本とばかりに快音を響かせた。

 1つのケージを共有したフリー打撃は約30分間にも及んだ。天才的な技術を目の前で学んだ新人には、まさに夢の時間だった。【大池和幸】