95年にドジャースに移籍してトルネード旋風を巻き起こし日本人メジャーのパイオニアと呼ばれた野茂英雄氏(47)が11日、パドレスで自身初の球団フロント入りを果たしメジャー球界に復帰した。

 パ軍は、野茂氏が球団編成部門のアドバイザーに就任したことを発表。同氏は球団を通し「パ軍に加わったこと、メジャーに戻れたことを大変うれしく思う。若手選手に何かを伝えたいし、自分にとっても勉強になる。パ軍が世界一になれるよう貢献したい」と英語で談話を出した。

 野茂氏は、球団編成部門で選手育成を中心とした業務や、環太平洋地域での球団の事業展開に携わる予定。アドバイザーには他にモイゼス・アルー氏、トレバー・ホフマン氏ら元名選手がそろっており、アルー氏はマイナーの若手の指導に当たる傍ら故郷ドミニカ共和国の野球界でも重要な役職に就き2カ国の球界の顔として活動している。野茂氏も、アルー氏と同様の役割を担うことが期待されているという。

 パ軍は近年、日本での事業展開とスカウト活動に力を入れており、昨年11月には球団幹部が来日して野球教室を行い、斎藤隆氏(45=元楽天)をインターンとしてフロントに招聘(しょうへい)するなど、日本との関係強化を進めてきた。野茂氏のフロント入りによって球団の日本での存在感を増したいという狙いは特に大きいという。プレラーGMは「ヒデオを迎え入れることができて誇らしい。彼の専門知識や情熱はチームの大きな財産になるだろう」と期待をかけた。

 ◆野茂氏の引退後の活動 08年7月に現役引退を発表した後、03年に自ら設立したNOMOベースボールクラブでの活動を引き続き行い、社会人チームの運営、野球教室や「NOMO CUP」大会開催などで選手育成に尽力。同クラブでプレーした河野大樹選手が14年に育成選手ドラフトでソフトバンク入りするなど、プロへも選手を送り出した。引退直後の08年11月にはオリックスの秋季キャンプで臨時コーチを務め、09年2月にはオリックスのテクニカルアドバイザーに就任。10年からは2年連続で広島の春季キャンプで指導に当たった。米国では11年に元ドジャース・オーナーのピーター・オマリー氏と共同でフロリダ州のかつてのド軍キャンプ地でもあるスポーツ施設・ドジャータウンの経営に着手している。昨年は20年東京五輪での野球・ソフトボール競技復活を目指したPR映像にも参加した。