マリナーズ岩隈久志投手(35)が6試合目で今季初勝利を挙げた。アスレチックス戦に先発し、7回4安打1失点。7日ぶりに地区首位奪回の原動力となった。

 5戦0勝の4月が終わり、迎えた5月初登板。「乗り遅れていたし、焦りもあった。しっかりしないといけない。月が替わった、というのはありました」。昨季ノーヒッターを達成し、日米通算154勝を挙げているベテランでさえ、白星と無縁の日々は胸中穏やかではなかった。

 心身ともに、ルーティンに工夫を凝らした。登板間のブルペン投球では「異例」の37球を投げ、タイミング、バランスを修正。「スピードが落ちたような気がして腕を高い位置にしたり…。それがあまり良くなかったんですかね」。結果につながらないことで、悪循環に入りかけていた。原点のストライク先行を意識し、7イニング中で3者凡退が5回。「あまり力を入れずに伸びる球が投げられるようになりました」と本来のテンポを取り戻した。

 前夜の試合後は登板直前にもかかわらず、陣頭指揮を執り、宿泊先のホテル近くで食事会を開催した。その成果? か打線の大量援護と再三の好守で背中を押された。「ホッとした気持ちです。これを続けて、途切れないようにしたいですね」。今季最多の貯金「4」と伸ばし、地区単独首位に再浮上。リセットした岩隈の初白星は、単なる1勝以上に意義深い。【四竈衛】