マーリンズ・イチロー外野手(42)がメジャー歴代記録を超える日米通算4257本目の安打を放った16日、生まれ故郷の愛知県豊山町では、幼いころを知る人たちが「あの子は私たちの誇り」と、地元出身のヒーローの偉業を祝福した。

 「1994年のシーンと重なった」。自宅のテレビで中継を見守ったイチローの父鈴木宣之さん(73)は駆け付けた約30人の報道陣を前にこう語った。イチローがスターとなったプロ3年目。日本初の年間200本安打を達成した打席も今回と同じライトへの二塁打だった。「うれしくて自然と涙が出た」としみじみと振り返った。

 愛工大名電高時代の野球部監督、中村豪さん(73)も同県西尾市の自宅で記録達成を見届けた。「強い星の下に生まれたのだろう。あの子と一緒に野球ができた3年間が誇りです」とかみしめるように語った。

 「ばんざーい」。豊山町役場庁舎には試合終了後の午前8時半ごろ、「祝 イチロー選手」と書かれた垂れ幕が掲げられ、集まった関係者が喜びを爆発させた。鈴木幸育町長は「本当にうれしい」と興奮した様子だった。

 イチローを少年時代から知るスポーツ店経営河井政三さん(73)も役場前で「最高だ」と感無量の様子。「50歳まではプレーを続け大リーグ単独での世界記録を目指してほしい」と、さらなる活躍に期待を寄せた。

 イチローが小学、中学時代に通ったバッティングセンターの社長前田岩夫さん(76)は「出場機会が少なくなっているのに、結果を出し続けるのはすごい精神力だ」と偉業をたたえていた。