マリナーズ岩隈久志投手(35)が16日(日本時間17日)、シアトルでのアストロズ戦に先発し、7回を2安打無失点で2年ぶりの2桁勝利となる10勝目(6敗)を挙げた。8三振を奪って自身4連勝。メジャー通算57勝は日本選手で歴代単独3位に浮上した。チームは1-0で勝ち貯金1とした。

 岩隈が胸のすくような快投を演じた。オールスター戦を挟んで中7日での登板。休みの間は投球練習をせず「ブルペンではあまり良くなかった」ものの、丁寧に投げることを心掛けて好結果につなげた。7回、90球を投げて被安打はわずかに2本。今季19度目の先発で初めて無失点のままマウンドを降りた。

 1回に2死から二塁打を浴びた後、4番コレアを三振に切って取った。7回、そのコレアに二塁打されるまでは無安打と、持ち前の緩急と制球力で相手を翻弄(ほんろう)した。時折笑顔ものぞかせた余裕あふれるマウンドさばきで「思った通りに投げて、アウトが取れた。だんだんリズムに乗れた」と自画自賛した。

 この日は主砲クルーズが左足を痛めて欠場。得点力が落ちる中、ゼロを並べてチームのピンチを救った。スコアは1-0。投手としては最高の形で勝利に貢献し「こういう接戦の試合が落とせなくなってきているので、この試合を取れたのは大きい」と喜んだ。

 自己最速のペースで2年ぶりの2桁勝利に到達し「とにかく試合をつくりながら勝てることがすごくうれしい」と納得の表情を浮かべる。メジャー通算57勝で、松坂(現ソフトバンク)を抜いて日本投手歴代単独3位にも浮上した。「松坂さんの背中を追いかけてここまできたようなもの」と言う岩隈にとって、格別な1勝となった。

 4月は勝ち星なしの3敗と苦しんだものの、5月以降は本来の安定感を取り戻した。エース右腕ヘルナンデスら先発陣の故障が目立つ中、岩隈はただ1人戦列を離れることなく開幕からローテーションを守っている。サービス監督は「最高の仕事をしてくれた。チームにいてくれてラッキーだ」と最大級の賛辞を贈った。

 ▼岩隈がメジャー通算57勝。56勝の松坂を抜いて日本投手で歴代単独3位に浮上した。1位は野茂(元ドジャース)の123勝で、2位は黒田(現広島)の79勝。

<日本人投手勝利数10傑>

(1)野茂英雄 123勝 323試合 109敗

(2)黒田博樹 79勝 212試合 79敗

(3)岩隈久志 57勝 130試合 31敗

(4)松坂大輔 56勝 158試合 43敗

(5)大家友和 51勝 202試合 68敗

(6)長谷川滋利 45勝 517試合 43敗

(7)ダルビッシュ有 41勝 87試合 26敗

(8)石井一久 39勝 105試合 34敗

(9)伊良部秀輝 34勝 126試合 35敗

(10)吉井理人 32勝 162試合 47敗