今日にも大記録達成へ-。マーリンズのイチロー外野手(42)が、メジャー通算3000安打まであと2と迫った。カージナルス戦で先発から外れたものの、7回裏1死に代打で出場。右翼へ痛烈な二塁打を放った。マ軍は29日(同30日午前8時10分)の同カードで先発出場することを公式ツイッターで異例の発表をした。本拠地での達成に期待が膨らむ。

 米デビューした15年前と変わらない、シャープで力強いひと振りだった。7回1死一塁。低いライナー性の打球は二塁側へダイビングした一塁手アダムスのグラブの下を“超高速”で抜けた。右翼手ピスコティがフェンス際まで追いかける間に、イチローは悠々と二塁に進んだ。

 一般的には、一、二塁間を破る当たりは単打止まり。「そんなこと言われても困ります。この体でそのスピードが出てるんだったら誰だって出ます。どれだけスピードが出ているか知らないですけど」。右翼手が右中間寄りにシフトしていたとはいえ、メジャー通算350本目の二塁打は42歳としては常識破りの一打だった。「それを言うと自画自賛になるから。ヒットならそれでいいですよ」と苦笑いでかわすだけだった。

 大記録が目前に迫り、ここ数試合はイチローが打席へ入るたび、地元ファンが一斉に立ち上がり、スマートフォンのカメラを向ける光景が定着した。1球ごとにまばゆいフラッシュが光り、大声援に包まれる。そんな景色について、イチローは「知ってます」と苦笑するだけ。残り3試合となった地元マイアミでの達成に期待がかかる中、マッティングリー監督は29日のスタメン出場について「今の時点では伝えられない」と、いつも通りの姿勢に終始した。

 その一方で、マ軍球団は周到な準備を進めていた。試合終了から数時間たった28日の深夜、球団の公式ツイッターでファンへのメッセージを掲載。「Ichiro is scheduled to start tomorrow night, just two hits from 3,000. Join us.(イチローは明日の試合で先発する予定で、3000安打まであと2本。見に来てね)」。投手の予告先発は定着していても、控え野手の予告は前代未聞。偉業達成の瞬間を、地元ファンと一緒に見届けるため、異例の告知を発信した。

 今季スタメン34試合の中、17試合でマルチ安打をマークしている。今日、2998安打から3000の大台に乗せる確率は50%といえる。日本のみならず、米国ファンも待ち望む歴史的一打を、目と心に刻む時が近づいてきた。【四竈衛、水次祥子】

 ◆超高速二塁打 大リーグ機構のデータサイト「baseball savant」によれば、この日の二塁打の打球速度は103・5マイル(167キロ)。今季イチローが放った打球で4番目に速い数値を計測した。