プレーバック日刊スポーツ! 過去の8月27日付紙面を振り返ります。2009年の1面(東京版)では、イチローが足の故障で2試合連続欠場したことを報じています。

◇ ◇ ◇

 ボルトに壊された!? マリナーズ・イチロー外野手(35)が、左ふくらはぎ痛でアスレチックス戦を2試合連続で欠場した。故障した23日試合前夜に、陸上世界選手権男子100、200メートルで世界記録を更新したウサイン・ボルト(23=ジャマイカ)から走法を教わる夢を見たことを明かし、そのイメージを持って臨んだ試合で痛めた。それでもこの日から打撃練習を再開。明日27日(同28日)ロイヤルズ戦から復帰する可能性が出てきた。

 メジャー入り後、イチローは故障者リスト入りを除き初の2試合連続の欠場となったが、復帰へ着実に準備を進めた。午後2時すぎからセーフコフィールドの外野の芝生の上をゆっくりと走り、軽いキャッチボールで左足の状態を確かめた。室内では軽い打撃練習も行った。前日にはトレーナー室に約6時間もこもったが、この日は約4時間と治療時間も短くなっていた。

 トレーナー室から出てきたイチローの表情には重々しさはなく、故障の要因?となった夢の話で周囲の笑いを誘った。22日夜のことだった。ボルトの奇妙な夢を見たことを明かした。ボルトといえば今月の陸上世界選手権で男子100、200メートルで自身の持つ世界記録を更新した人類最速の男。イチローは記録を更新したシーンは見ておらず、ニュースで事実を知っていたそうだ。

 イチロー (故障する試合の)前の晩に、ボルトに走り方を教えてもらってる夢を見たんですよね。で、その翌日そのイメージで走ってたのかなあ。ちょっと自分では面白かった。ボルトが(夢に)出てきたのが初めてで(ケガは)その翌日やからね。

 イチローにとっては“ボルト逆効果”だったのか―。23日インディアンス戦では8回の打席を終え、守備から途中交代した。投ゴロを打った際、走りだして3歩目に左ふくらはぎを痛めた。

 ボルトの走りをまねたわけではないだろうが、2人の走法は対極。ボルトは現在の主流であるすり足走法とは違う、ももを上げてピッチを刻む。いわゆる「稲妻走法」だ。イチローは体のバランス、重心を一定に保つことを心がけ、ひざを高く上げず、地をはうように進む「ライオン走法」と言われる。

 イチローは以前から陸上競技に関心があった。今年1月に神戸市内で自主トレした際、日本男子100メートル元日本記録保持者で北京五輪同400メートルリレー銅メダルの朝原宣治氏が参加。陸上界の最新走法やボルトらの話題や質問もした。北京五輪で見せたボルトのゴールシーンのモノマネもしたほどだ。

 故障の回復は順調だ。今後の見通しについて「(試合を休むのは24日から)3日で、と思っている」と今日26日の試合は欠場する予定だが、明日27日のロイヤルズ戦からは「走ることができれば(大丈夫)」と話した。メジャー通算2000本安打まで11本、史上初の9年連続200安打まで16本。“ボルト逆効果”もいい経験にして、記録への再スタートを切りそうだ。

※記録や表記は当時のもの