レンジャーズのダルビッシュ有投手(30)が、レッズ戦で日米通算でプロ初となる本塁打を放った。敵地での交流戦の第2打席、中堅後方に豪快な1発をたたき込んだ。投球は6回4安打5失点(自責3)と同点で交代し、勝敗は付かなかった。

 昨年3月の右肘手術以来、リハビリ期間に取り組んできた肉体改造が、思わぬ形で実を結んだ。5回表2死。カウント1-2から146キロの速球を振り抜くと、打球は中堅芝生席で弾んだ。「何かパワーがめっちゃ付いて、おかしいと感じてました。マジで(本塁打が)2本くらいあるんじゃないかと」。過去数日、打撃練習の際、変化を実感していた。術後の今季、右肘への負担を考慮し、左打ちを試してきた。だが、違和感が消えたことで本来の右打ちへ戻したところ、打球が急激にパワーアップ。本来は、球速、球威増の目的で体重107キロまで6キロ増したオフの成果が、初アーチとなって表れた。

 球速100マイル(約161キロ)を目指す本職でも、力強さは見せた。3回裏、3番ボットに対し、球場内表示で自己最速タイの99マイル(約159キロ)を3球連続で計測した。それでも、試合後は「後でテレビ表示を見たら97、98マイル(約156~158キロ)だったので悲しかったです」とションボリ。白星を逃したこともあり、「打撃が話題になってるようじゃダメだと思います」と反省の言葉を続けた。

 順当なら、次回29日(同30日)はマリナーズ岩隈との直接対決。「DHを外して打席に立たせてくれれば…」と笑わせた一方で、「二刀流は大丈夫です」と受け流した。「ちゃんと修正して長いイニングを投げたいと思います」。投手としての抱負には、やはり力がこもっていた。【四竈衛】

 ▼ダルビッシュが日米を通じて初本塁打。日本人投手の本塁打は今年4月6日前田(ドジャース)以来5人、8本目。この日は交流戦だったが、通常はDH制で戦うアメリカン・リーグ所属の投手では初めて。

 ▼19年ぶり レンジャーズの投手による本塁打は、97年6月30日のドジャース戦でボビー・ウィットが放って以来19年ぶり。ウィットの1発は、交流戦でのア・リーグ投手による初の本塁打となった。また、大リーグのデータ分析システム「スタットキャスト」によると、ダルビッシュの本塁打の飛距離は410フィート(約125メートル)だった。