今季ベスト投球でポストシーズンへの臨戦態勢を整えた。レンジャーズのダルビッシュ有投手(30)がアスレチックス戦に先発し、今季最長タイの7回を投げて2安打無失点、9三振を奪って天敵を圧倒。今季6勝目、ビジターでは7戦目で今季初勝利を挙げた。0勝3敗と鬼門だったア軍の本拠地でも5戦目で初勝利を手にし、先発ローテーションの2番手として10月のポストシーズンに出陣する。

 速球が走った。ダルビッシュは最速98マイル(約158キロ)を3度計測し、ツーシームも95マイル(約153キロ)を超えるほど、力もキレもあった。スライダーの制球、スローカーブでは空振り三振を奪い、すべての球種を自在に操った。「相性が良くない中で、いい成績を残せたのは自信になる」と、前回17日の対戦で5回7安打7失点と打ち崩されたアスレチックス打線を手玉に取った。通算でも2勝9敗、防御率5点台という天敵に「怖がって投げていたら、いつまでもずっと同じことの繰り返しになる」と、苦手意識を振り払った。

 登板間に取り組んだ調整が、実を結んだ。「フォームがちゃんと改良できた。(ツーシームは)握りを深くしていたのを、今日は普通の真っすぐに近い形で握った。前はスプリットに近い形だったからスピードが落ちていた」と球速がアップした。1回と5回を除けば3者凡退。得点圏に走者を置いた5回1死一、二塁も、続く2人をスライダーで外野フライに仕留めた。

 また、フォームには「ため」ができていた。ダルビッシュは「いろんなことをやっている中でたまたまそうなっているだけ」と説明したが、バニスター監督は「ためによって球に角度がつき、打者がしっかり捉えられなかった。ツーシームも、素晴らしい動き方」と効果を感じていた。ア軍のメルビン監督も「こんなにいいダルビッシュを見たのは久しぶり」と脱帽した。

 チームは前日に地区優勝を決め、ダルビッシュはシャンパンファイトを「自粛」してこの日の登板に備えた。調子をトップレベルまで引き上げて「準備はできている」と力強い。レギュラーシーズンはあと1度登板し、ポストシーズン最初の登板は、10月7日(日本時間8日)の地区シリーズ第2戦を予定。右肘手術から復帰1年目を、最高の形で終えるつもりだ。【水次祥子】