ドジャース前田健太投手(28)が念願の優勝を果たして美酒に酔いしれた。ナ・リーグ西地区優勝へ向けたマジックを1としていたチームは、ロッキーズに延長10回、4-3でサヨナラ勝ちし4連覇を決めた。広島時代からV経験のなかった前田は初体験のシャンパンファイトで歓喜した。

 1点を追うドジャースは9回2死走者なしと追い詰められていた。ここで新人王の有力候補シーガーが起死回生の同点弾を右越えに運ぶ。続く延長10回、またも2死から伏兵のカルバーソンが左へ今季初本塁打。劇的なサヨナラ勝ちで、地区4連覇が決まった。

 5万人を超える大観衆に祝福されながらマウンドの前に集まった選手の中で、前田が満面の笑みを見せた。初体験のシャンパンファイトでは、大はしゃぎで仲間とビールやシャンパンをかけ合った。広島での9年間も含め、初めて経験する優勝。「カープが優勝してそこに自分がいないのは残念だったけど、米国に来て優勝できた」と充実感をにじませ、シャンパンシャワーの味は「意外といけましたね。お酒は得意じゃないんですけどね」と笑った。

 ド軍入団時は身体検査で問題が見つかり、故障のリスクを懸念された。契約内容は基本年俸を300万ドル(約3億円)と低く抑えられ出来高が分厚いという異例のものとなった。しかしふたを開けてみると、エース左腕のカーショーら先発陣に故障者が続出。1年間ローテを守り続けた唯一の投手が前田だった。勝ち星(16勝)、先発数(30)、投球回(169)、奪三振(171)はいずれもチームトップ。ザイディGMは「故障者が続出した中で、他の選手が頑張ってくれた」と1年を振り返った。

 慣れない中4日の登板間隔も調整を工夫するなどして乗り越えた前田は「しっかりローテーションを守っての優勝はまた違うと思います。みんな喜んでましたし、最高の瞬間だったと思います」と喜びをかみしめた。早穂夫人(31)もシャンパンファイトをそばで見守り、自らは「ビールシャワー」で夫を祝福。「大変なことが多かったんですけども、主人が弱音を吐かずに頑張ってきたので、私たちもそれに負けていられないと思い、一緒になんとかついてこられました」と笑顔だった。【水次祥子】