レンジャーズのダルビッシュ有投手(30)が、プレーオフに向けて万全の状態に仕上がった。レギュラーシーズン最後の先発となったレイズ戦で、6回を3安打1失点、今季最多の12三振を奪う快投で7勝目。メジャー100試合目の登板を白星で飾った。チームはこの1勝でリーグ最高勝率が確定し、ワールドシリーズを含む全カードで本拠地開幕権を持つ「第1シード」となることが決まった。

 ダルビッシュが、こぶしを握りマウンドでほえた。唯一のピンチに陥った6回だった。先頭に四球を与え、主砲ロンゴリアに適時二塁打を許し1点差に詰め寄られた。しかし、緩急を巧みに使い、4番ミラーから3者連続の空振り三振。カーブで12個目を奪った瞬間、気持ちを前面に出した。

 苦しい場面で逆に力を発揮した。中堅手のデズモンドがフライを2度も落球し走者を出したが、全く動じず後続をぴしゃりと抑えた。速球は98マイル(約158キロ)に達し、変化球のコントロールも絶妙。「全体的に自分の投げたいボールは投げられたんで、いいピッチングだったと思います」と納得の投球だった。バニスター監督は「非常に感銘を受けた。勝負にかける強い気持ちが出た試合だった」と頼もしいエースにますます信頼を寄せた。

 9月最初の3試合で計13失点。悩んだ時期を、ダルビッシュは「キャッチボールもぐちゃぐちゃだったし、ブルペンでストライク入らないし。そういう時期もあったので今こうやって、精神的にもクリアな状態で投げられるようになっていると思う」と振り返った。ようやく本来の投球フォームを取り戻し、通算28度目の2桁三振をマーク。デビュー100試合では、31度のドワイト・グッデン(元メッツ)に次ぐ2番目の記録となった。

 次の登板は7日(日本時間8日)の地区シリーズ第2戦。今季のカムバック賞候補にも入った右腕にとって、右肘手術からの完全復活をアピールするのに最高の舞台。ダルビッシュは「日本でもポストシーズンの成績はいいはず。そっちの方が自分も盛り上がる」と、自信にあふれていた。【水次祥子】

 ◆ドワイト・グッデン メッツなどで活躍した元祖「ドクターK」。デビューした84年に新人王と奪三振王。翌年には24勝4敗、防御率1・53、268三振で投手3冠を達成し、史上最年少の20歳でサイ・ヤング賞獲得。その後はコカイン中毒に悩まされ、01年に現役引退。通算430試合で194勝112敗、防御率3・51、2293三振。

 ◆奪三振率王 ダルビッシュの今季の奪三振率(9イニングあたり)は11・84。規定投球回に達した投手でア・リーグ1位のピネダ(ヤンキース)を上回る。また、ダルビッシュの通算奪三振率は11・32。同投手がデビューした12年以降の5シーズンでの先発投手(400投球回以上)では両リーグ通じてトップだ。2位は先月急逝したフェルナンデス(マーリンズ)の11・25、3位はシャーザー(ナショナルズ)の10・69と続く。