カブス上原浩治投手(41)が、来年3月に行われるワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場しないことが21日、分かった。侍ジャパン小久保裕紀監督(45)から抑えとして期待され、自身も出場に意欲を示していたが、カブス側から出場を自重して欲しいとの要望があり、悩んだ末に決断した。世界一奪還を目指すチームにとっては大きな痛手となる。

 上原が苦渋の決断を下した。侍ジャパンの小久保監督は、クローザーとして上原を構想のど真ん中に置いていた。来季で42歳となる上原自身も、日の丸を背負って戦う最後の国際大会として、WBC出場へ強い意欲を持っていた。しかし、来季からプレーするカブス側から、出場を見送って欲しい意向を聞いた。

 上原 年齢的にも日本のために戦う最後の機会となる可能性が高く、8月には小久保監督にアメリカまで来てもらい、激励を受けました。何とか侍ジャパンの力になりたい気持ちがあり、準備を進めてきました。しかし、カブスから「できればチームに合流したままで調整を続け、シーズンを迎えて欲しい」との説明を受けました。非常に悩みましたが、ベテランの自分に対してオファーをいただいたチームの期待に応える必要があると考えました。判断を先送りにするほど侍ジャパンに迷惑がかかると思い、結論を出しました。

 レッドソックスからFAとなり、複数球団からオファーを受けた。勝利にこだわる上原は、今季世界一となったカブスを選んだ。ゲーム終盤のブルペンを任されることは確実で、万全の状態でスタートを切ることが求められる。来年2月に米アリゾナでキャンプインするが、WBCに参加となると寒暖差の激しい日米の往復を余儀なくされ、長丁場のシーズンを戦い抜く準備が難しくなる。新天地の環境に一刻も早くなじむ必要もあり、葛藤の末、無念の不参加を決めた。

 調整は順調に進んでいる。帰国後も自主トレを継続し、この日は1時間以上のランニングメニューを消化。下半身に強い負荷を掛け投球の土台を作っていく姿勢は変わらず、短距離~長距離まで満遍なくこなした。遠投は早くも70メートルにまで延び、強いキャッチボールでの伸びも健在。「この年で契約してもらった以上、きちんと仕上げる義務がある」と、ほぼ無休でトレーニングを続けている。

 絶対的な抑え候補だった上原抜きでWBCに臨む侍ジャパンは、チーム編成の再考を余儀なくされる。20日に1次メンバーが発表されたが、牧田、増井ら抑えの経験がある投手が入っている。則本らボールに力のある投手も名を連ねている。一丸で穴を埋める。