ヤンキース田中将大投手(28)が23日、古巣のKoboパーク宮城で自主トレを公開した。ヤ軍の軸として昨季14勝4敗、防御率3・07。メジャー4年目も期待がかかる。あと1/3イニング届かなかった200投球回を通過点に設定。積み上げてきた力を出し切る。

 強いリリースに順調さがにじんだ。しかも田中は、スパイダーマンが手から放つ糸のごとく、放射状にボールを散らして操った。終点である美馬のグラブは動かなかった。グレッグ・マダックスに代表される、軌道までを自在に制御する「コマンドピッチャー」の域に手を掛けたメジャー4年目。ブルペン入りは済ませてきた。「あれだけ今の時点で投げられている。去年は(右肘の)術後の状態を見ながら。ここ何年の中で一番スムーズ」。ヤ軍のエースを全うする。

 登板31試合で14勝4敗、防御率3・07。199回2/3。中4日の不安説を封じた。「1年やっただけ。続けていかないと意味がない。そうじゃなかったら『去年のことはたまたま』と言われる」。重箱の隅を突くのは、自分の投球だけでいい。

 たった1/3イニング届かなかった200投球回が物足りない。「200じゃ足りない。絶対に超えなくてはいけない」と力が入った。

 「100球に全然いっていない中で、リリーフに任せたことも。信頼はまだまだ。勝ち取っていかないと数字は伸びていかないし、リリーフにも負担を掛ける。1つでもアウトを多く、1イニングでも多く」

 積み上げへの自負があるから継続を強調できる。「全体的な底上げ。ボールの精度を上げるためにはフォーム。フォームを直すためには意識。全部がつながっている。どれか1つということはない」。逆算の重要さを語り、自分の立ち位置を言葉に出して再確認した。「自分がローテの先頭に立って、1年間戦い抜く」。技術と気持ち。裏打ちなくしてヤンキースの柱など務まらない。【宮下敬至】