新たにチームメートとなった2人が早くも“初対決”を迎えた。レッドソックスからマーリンズに移籍した田沢純一投手(30)が19日、フロリダ州ジュピターでのキャンプで初めて打撃練習に登板。計17球のうち、5球をイチロー相手に投げた。結果は2度ファウルされ「コースを狙い過ぎ、良い球もあれば悪い球もあった」と率直に振り返った。

 この時期、打者にとって同僚投手が投げる打撃練習は目慣らしの意味合いが強い。キャンプイン3日目のイチローは、右腕の投球自体には触れなかった。だがじかに相対し、それ以上に伝わるものがあったようで「いつだって文句を言わず(マウンドに)行ってくれそうだし、雰囲気がいい」と好印象を抱いた。

 マ軍3年目の先輩として、仲間入りを待っていた。田沢の契約前、イチローはヒル編成本部長に「非常にいい投手。チームの力になる」と推薦。エース右腕フェルナンデスをボート事故で亡くし、7年連続負け越し中のチームにとって、ブルペン強化は必須だった。ベテラン野手のお墨付きが、入団をアシストした経緯がある。

 田沢は主砲スタントンには柵越えを許した。それでも「まずはストライクを投げることだったから」と気にも留めない。キャンプはまだ序盤。制球感覚を取り戻すための練習と割り切っており「これからいい球を少しずつ増やしていければ」と淡々と話した。一方のイチローも、新戦力の先発ボルケスらの球筋をじっくりと確かめた。それぞれの調整に集中する中で訪れた、つかの間の対決で、互いの存在感をしっかり感じ取っていた。