カージナルス時代の11年にはワールドシリーズMVPにも輝いたことがあるパイレーツのデービッド・フリース内野手(33)が、長年うつ病を患っていることを告白した。

 米USAトゥデー電子版によると11年当時は最悪の時期で、ベッドから起き上がることもままならず、毎朝起きるたびに、自分が死んでいたらいいと考えていたという。

 ワールドシリーズのヒーローのような存在には「自分が最もなりたくないものだった」そうで、レンジャーズを下して世界一となった優勝リングは銀行のセキュリティーボックスに入れたまま。包装紙に包まれたままのトロフィーも両親の家の地下に眠っており、賞品の黒いコルベットはテキサスにある倉庫の中でほこりをかぶっているという。

 「僕はうつだった。いつだってうつだった。そして健康な状態でいようと自分自身をケアすることもしなかった」。

 フリースのうつ病は10代のころから始まり、高校時代から有望な野球選手であったにもかかわらず、ミズーリ大からの奨学金を辞退。1年間競技から離れ、パーティーとアルコールにおぼれ、飲酒運転で逮捕されたこともあった。

 疲れと無気力に支配され、12年にはレンジローバーで木に突っ込んで死にかけた。「正直に言うと、高校以降、そんなことが何度もあった。今ここにいることが信じられない」。

 だがメイリン夫人の後押しもあり、現在はうつ病ともきちんと向き合い、治療に努めているという。病との戦いはこれからも続くが、フリースは自身の告白が同じ病気に苦しむ人たちの手助けになることを願っている。