みんなが気になる「犬」の行き先は…。マーリンズからFAになったイチロー外野手(44)が23日、出身の愛知県豊山町で、自らが大会長を務める「イチロー杯争奪学童軟式野球大会」の閉会式に出席。去就が決まらない心境を「ペットショップで売れ残った大きな犬」と表現した。メジャーでのプレー続行を希望するが、年齢がネックになっていると推測。イチローらしい言葉で現状を子どもたちに伝えた。

 突然イチローが踊り出した。あいさつの冒頭。直前に3位チームが見せた喜びのダンス「ランニングマン」に反応した。両手を突き出し「こんな感じ?」と軽やかにステップを踏んだ。

 恒例の里帰り行事。珍しく黒のスーツにネクタイを締めて登場した。来季の所属が決まっていないことは誰もが知っている。そこにスーツ姿だ。どんなテンションで話すのか…。どことなく緊張感が会場を包んでいた。スーパースターは一瞬で場を温めてみせた。

 今回は小学生球児からの質問も受け付けた。「日本球界に復帰する可能性はありますか」と直球質問が飛んだ。「メディアいますから! ややこしいこと聞くな~。これ、大人の知恵入ってる?(笑い)。可能性という言葉を使うなら、いろんなことがある。これは僕の逃げの言葉。ゼロじゃないっていうと可能性があるってことだけど…。ややこしいなあ。どうかなあ」。笑い転げながら、絶妙に核心を外した。

 球児を前に日本復帰が「ゼロ」とは言わなかったが、17年過ごしたメジャーが第1希望なのは疑いようもない。「もちろん来年も野球選手でいたい。でも、米国では44歳っていうと何か引っ掛かるらしいんですよね。44歳のオジサンどうなんだ、って。3年前も感じていたんだけど、ペットショップで売れ残った大きな犬みたいな感じなんです」。注目度は高いのに誰も手を出そうとしない…。ユーモアたっぷりに、自身が思う現状を表した。

 「まだ元気なところを見せる機会もないし」ともどかしそうにも話した。子どもたちに伝えたいことに(1)自分に自信を持つ(2)チームメートから信頼される(3)やるべきことを自分で見つけられる、の3つを挙げた。「僕もいまだにできているか分からないけど、野球をやってきて感じた大事なことです。44歳もまだまだ頑張ろうと思う」。20分近くに及ぶトークはどこまでもエネルギッシュだった。【柏原誠】