【ピオリア(米アリゾナ州)16日(日本時間17日)=四竈衛】右ふくらはぎ痛で離脱したマリナーズのイチロー外野手(44)が、2日ぶりに練習を再開した。

 通常であれば開幕が絶望視されるほどの状態だったが、特殊マシンを使ったトレーニングで急速に回復。17日からは全体練習に合流した。

  ◇   ◇

 イチローは慎重にストレッチを繰り返しながらも、「故障後」を感じさせない動きを披露した。個別練習では、ジョギング、キャッチボール、ケージ打撃など約1時間にわたって体の反応を確認した。練習後は、「こんな感じです。見てたでしょ」とおどけるなど、終始にこやかな表情だった。

 もっとも、異常発生直後は、決して「軽症」ではなかった。交代直後、カートで退場したのも、歩行に支障があったからだった。「嫌な感じでした」。イチローによると、通常であれば「(全治)2週間とか、オートマチックに言われる」ほどの重症だった。となれば、開幕に間に合わせることは絶望的だった。

 ところが、イチローには強力な「味方」がいた。試合後は、アリゾナの自宅にも設置している、10種類にも及ぶ初動負荷理論の特殊マシンを利用したトレーニングで「治療」。14日夜に3時間、15日午前に2時間、午後に4時間、さらにこの日の球場入り前に1時間。延べ10時間にわたってマシンを動かし、患部のケアに努めた。「結局、リカバリーは酸素と血流。それが促進されれば当然、回復は早いです」。全身の血行を活発にして患部をほぐし続けたことで、驚異的に回復した。イチロー自身が「(マシンが)なかったら(開幕は)アウトでしょうね」と明かすほどで、一時の大ピンチから脱出した。

 故障防止に定評のあるイチローによると、今回の「張り」の一因として、筋肉を維持するうえで重要な水分補給が不足していた可能性があるという。6年ぶりに乾燥地帯のアリゾナでのキャンプとあって、「初歩的なところで油断しますからね」と反省も忘れなかった。「3・29」の開幕戦まで、今後はじっくりと状態を上げていくことになりそうだ。