【テンピ(米アリゾナ州)16日(日本時間17日)=本間翼、斎藤庸裕】エンゼルス大谷翔平投手(23)がプロ初の屈辱を喫した。ロッキーズ戦で2回に一挙7失点しKOされた。7失点は日本ハム時代のワーストタイで、1イニング7失点は初めて。4~5回を投げる予定だったが、1回1/3で交代を告げられた。ローテの一角として起用する方針を変えないソーシア監督も、次回登板については変更の可能性を示唆した。

 本心は隠した。歩み寄る指揮官を、大谷は苦笑いで迎えた。まだ2回1死。早期降板を告げられ、渡米4度目のマウンドを譲った。1回1/3、7安打7失点。1イニングに7点を失うのは、日本ハム時代にもなかったことだ。「1回1回が勉強かなと思います。よくても悪くても必ず反省するところは出てくるので、そこは1個1個つぶしながら、次に向けて練習したいなと思います」。報道陣にも、冷静に対応した。だが降板後すぐに、向かったのはブルペン。やり場のない感情を、汗とともに発散した。

 1回には移籍後最速となる98マイル(約158キロ)をマークし、直球で4番のストーリーから三振を奪った。しかし続く2回、先頭のデスモンドに左翼へ1発を浴びると、死球を挟んで6連打の猛攻を浴びた。昨季、打率3割9厘、37本塁打、130打点の主砲アレナドにもトドメの1発を被弾。ゴロで抜けた安打や内野安打もあったが、「投げきっても、振り切られている部分があるんじゃないかな」と、球の弱さを課題に挙げた。

 MLB球への対応に苦労し、制球が定まらないフォークはこの日も2球のみ。さらに4~5回、70球以上を予定していたスケジュールも狂った。ここまで最長3イニングしか投げていない大谷には、開幕へ向けて不安材料もつきまとう。「(ローテから)カットはしていない」と変わらぬ信頼を寄せるソーシア監督も、来週の次回登板については「いくつかオプションがある。まだわからない。今日は決定しない」と、プランの変更を示唆。3、4番手で開幕カードに登板するものとみられていたが、ローテが再編される可能性も出てきた。

 打者としてもオープン戦打率1割と苦戦。マイナー落ちを言及する米メディアの声もある。大谷は「今の段階でそれは考えてないです。自分なりにやっていきたいなと思っています」。雑音を打ち消すには、結果で示すしかない。

 ◆ロッキーズ・デスモンドのコメント(通算139本塁打。大谷から先制本塁打を放ち)「素晴らしい素質があると思う。まだ春のキャンプだから、調整している段階。彼は良くなるはず」

 ◆ロッキーズ・アレナドのコメント(昨季37本塁打。第2打席で3ランを放ち)「打つ準備ができていた。いい球を放っていたよ。ストレートも良かった。春キャンプだからまだ判断するのは難しいけど、いい投手になると思うね」

 ◆ナ・リーグ某スカウトのコメント(大谷の投球に)「2イニング目に球速が落ちて、別人になった。素質は素晴らしい。1イニング目は圧倒的だった。まだ春キャンプだし、彼は間違いなく良くなる」